1945年生まれ。’68年名古屋大学工学部卒業。’70年同大学大学院工学研究科修士課程修了。’70年電電公社(現NTT)入社。2004年NTT西日本代表取締役社長。’12年~阪神高速道路株式会社取締役会長。’07年,当クラブ入会。米山功労者準フェロー,PHF(マルチプル)。
2016年の暑い時期だったと思いますが,東京でのある委員会の休憩時間に,当時の宮原会長から突然会長就任の打診を受けたときには正直驚きました。この歴史ある大阪RCの会長という重責を担うには適していないと思っておったのですが,何人かの歴代会長の方々から,「大阪RCでは指名されたら断ってはいけない」ということで背中を押されましたので,清水の舞台から飛び降りる気持ちでお受けをした次第であります。
今年度のテーマの設定についてお話をしたいと思います。バリー・ラシンRI会長のテーマが「BE THE INSPIRATION(インスピレーションになろう)」ということでありました。
これを受けまして,私はクラブ運営のスローガンを「Deep Communication and Take Action(対話を深め,行動しよう)」といたしました。ロータリークラブでは会員相互のコミュニケーションがクラブ活動の根幹でありまして,実際そのように機能していると思います。わが大阪RCは,実に多種多様な分野でのリーダー的な方々がそろった優れた知的集団であります。例会やテーブルミーティング,委員会活動,趣味の会等を通じまして,より対話を深め,多くの情報交換を行っていただき,ロータリアンとして社会的課題解決への英知と勇気をさらに高めていただくのに,少しでもお役に立てていただけたのではないかと思っております。
「会長の時間」でのテーマも選びました。私が関わってきました仕事の経験から,「安心・安全な社会を目指して情報通信技術がどのように使われているのか」という視点で,特にその時々の社会の出来事に合わせてテーマを選んでまいりました。昨年7月まで9年間携わった公安委員会の仕事から「防犯カメラ」「カメラ社会の到来」「DNA型鑑定」のお話を,阪神高速道路関係では「ETC」「老朽化する社会インフラ」のお話を,また関西情報センター関連では「テレワーク」「地区防災計画」「サイバーセキュリティー」のお話をいたしました。NHKの経営委員会関連では,「ネットでの動画配信」の話題を提供させていただきました。10分程度という時間の中で,いかにわかりやすく話をまとめるかに苦心をしました。少しでも「BE THE INSPIRATION」の参考になればと思いました。
次に,各委員会の主な活動についてであります。各委員会は,委員長のリーダーシップで,それぞれ活発に活動していただきました。詳細は報告書を見ていただくことといたしまして,特にコメントのある件を取り上げます。
まず中野健二郎さんが委員長の社会奉仕委員会でありますが,新しい試みとして,ドーン財団主催の「シングルマザー応援フェスタ」への応援を行いました。会員の方々に声を掛けて700点近くのたくさんの寄贈品を集めていただき,洋服などをプレゼントする企画に協力していただいたわけであります。
次に小泉祐助さんが委員長の青少年奉仕委員会でありますが,姉妹クラブのソウルRCからRAC会員4名を8月23日から25日まで受け入れ,実りのある交流を支援していただきました。現在の大阪RCのRACは企業派遣型で若い人材育成に大いに役立っていると思いますが,国際ロータリー(RI)は,RACを衛星クラブ的に将来ロータリークラブの会員になる人の集まりにしようという動きがあります。大阪RCとして,これからのRACのあり方を議論していく必要があると思います。
それから近藤雅彦さんが委員長の友好委員会でありますが,創立96周年秋の家族会やニューイヤーコンサート,叙勲会員お祝いと新年懇談会,そして春の家族旅行会と多くの行事を主催していただきました。また,本年も各テーブルミーティングの充実が見られ,会員間の親睦が大いに図られたと思います。特に春の青森への家族旅行会は近藤雅委員長が自ら4回も下見をされたお陰でしょう,大変充実した内容でありました。
大林剛郎さんが委員長のロータリー財団は,ポリオ・プラス寄付地区目標額を達成するために,4月19日例会から6月末までのニコニコ「みおつくし奨学金」を,クラブ扱いのポリオ・プラス寄付とするとともに,節約メニューを1回増やすということを,4月の理事会で承認し,実行していただきました。ポリオ・プラス寄付につきましては,RIの方針としてまだしばらく続きそうなので,少し手立てが必要な気がいたします。なお立野純三パスト・ガバナーは,国際ロータリー財団ポリオ・プラス基金へ多額の一括寄付をされ,ロータリー財団の「アーチ C.クランフ・ソサエテイ」のメンバーとなられました。
個別事項について主なものを取り上げます。まず,みおつくし奨学生は第3期生が卒業で,卒業生にお祝いを贈呈するために,私と奥田幹事で宮古東RCを訪問いたしました。3月4日の贈呈式には,稲畑みおつくし副委員長も参加いただき,山口会長はじめ宮古東RCの会員の皆さまと懇談をいたしました。
’22年の大阪RC100周年記念式典には,奨学生12名をご招待することになっておりまして,宮古東RCの山口会長から会員に向け,「宮古東からも,できる限り多くの会員で大阪RCの100周年式典に参加しましょう」という声掛けがありました。大阪RCとしても,宮古東RCの会員の方々の招待について,次年度以降,検討していただければと思っております。
次に,「大阪ロータリークラブナイト(絵画とワインとピアノを楽しむ会)」を10月12日に堂島リバーフォーラムで開催いたしました。当日は,なにわの企業家が集められたローランサン,黒田清輝らの名画24点を鑑賞いたしまして,その後,軽食とワインをいただきながら,小柳るみさんのピアノ演奏を楽しみました。
そして大きな動きは,2月に吉川秀隆元会長が第2660地区のガバナーノミニー・デジグネートに指名されたことであります。’21年吉川ガバナー年度に向けて準備・支援体制を整えていく必要がありますので,3月及び6月の理事会で,地区代表幹事,副幹事,地区研修協議会実行委員長,地区大会実行委員長,地区財務委員長の主要ポストに7名の指名を承認いただきました。また,これに合わせて100周年事業委員会の体制も変更されました。次年度稲畑年度からは,’21年度の吉川ガバナーを支えるこれらの委員会の具体的なメンバー構成をはじめ,いよいよ準備が始まります。また100周年は吉川ガバナー年度の翌年ですので,100周年事業の準備も同じ時期に行うこととなります。稲畑年度では通常のクラブ活動に加え,地区の関係と100周年関係の準備作業を同時に行うこととなりますので,会員の皆様の絶大なるご協力をお願いいたします。
今日,RIが大きく変わりつつあります。今年の春のRI規定審議会を見ても,規定を緩め,間口を広げて会員を増やそうという動きを感じます。RIの動きに遅れず,また流されず,まず「ロータリーとは何か」を原点に戻って議論し,これからの「大阪RCのあるべき姿」を考え,次の100年に向けてのビジョンをつくるとともに,変革をしていくことが望まれます。
次年度会長の稲畑勝太郎さんは,ロータリー活動の経験も豊富で,また高い見識を持たれた方ですので,安心して会長を引き継げるということでホッとしております。
最後になりましたが,平成時代から令和の時代への転換期に大阪RCの会長を務めることができ,大変光栄に感じております。そして,会員の皆様に支えていただき,何とか会長の責任を果たせました。皆様への感謝の気持ちでいっぱいであります。一年間ありがとうございました。
卓話者紹介:1957年生まれ。’81年3月早稲田大学政治経済学部経済学科卒業,(株)旭屋書店取締役会長。ʼ92年,当クラブ入会。ʼ99年クラブ幹事。2005年,’14年2度のSAA,ʼ17年クラブ会長。米山功労者・PHF。
ついにこの日がやってまいりました。G20サミットの影響で例年より1週間早いですが,森下俊三会長の年度も本日最終例会を迎えられました。様々なところに目配りの利いた安定感のある会長ぶりは,社会を支えるインフラに関わるお仕事に長い間従事してこられたことが関係しているのだろうと,この1年を振り返って感じました。
「会長の時間」では,お話の内容がすべて今年度RI会長テーマにつながるという意図にまでは思いが至りませんでしたが,高度な内容のお話をわかりやすく解説していただき,大いに参考にもなり,勉強にもなりました。
RIは,会員を増やすことを重視し,例えばかつてあった一業種一人といったような職業分類などに対する考え方も,随分以前とは異なってまいりました。森下会長の運営,各委員会の活動を拝見して,ロータリークラブの成り立ちがそもそも様々な職業に携わる職業人の集まりであったという原点を思い起こしました。
吉川元会長が2021年7月から第2660地区のガバナーに就任されることになっています。来る7月からはガバナーノミニーとしての活動が始まります。また,’22年11月には,大阪RCは創立100周年を迎えます。森下会長は大役を終えたと解放感に浸っておられるとは思いますが,違うお立場で引き続きご支援・ご協力をお願いいたします。
最後に,森下会長をはじめ奥田幹事,嘉納副会長,役員,委員長の皆様のこの1年間のご尽力に対して,改めて心より厚く御礼を申し上げて,大阪RC会員265名を代表しての感謝の言葉といたします。