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2020年9月18日(金)第4,764回 例会

「大阪の逆襲」と「大阪が日本を救う」を出版して
~高まる大阪への期待

石 川  智 久 氏

(株)日本総合研究所
調査部 マクロ経済研究センター
所 長
石 川  智 久 

1997年住友銀行入行。三井住友銀行経営企画部金融調査室次長(大阪),日本総合研究所調査部関西経済研究センター長等を経て2019年7月より現職。兵庫県資金管理委員会委員,大阪府「新たな戦略策定に向けた有識者懇話会」委員など。

 私は「大阪の逆襲」と「大阪が日本を救う」という本を,5月と8月に出しました。なぜこれらの本を書いたかというと,いろいろなランキングを見ると結構大阪が上位に入っていて,それがあまり世の中に知られていないという不満がありました。「世界の都市の安全性ランキング」では3位。「世界都市活力ランキング」では1位,などです。
 大阪にいたときには,これがなぜ知られていないんだろうといういら立ちみたいなものがありました。そのいら立ちをいろんな講演会でしゃべっていると,「おもしろいね」という話になって,やっと本が書けました。

この4 年での発信が重要に

 お陰様で両方とも1万部ぐらい売れており,それだけ大阪・関西にはかなり勢いがあると思っています。きょう一番言いたいことは,大阪・関西に勢いがあるので,それをどんどん大きくしていきたいということです。
 実は私が書いたような,等身大の現在の大阪の経済についての本というのは,この10年ぐらい出ていないそうです。「万博のような全国的,世界的なイベントでもないと大阪本は出しにくい」と編集者から言われました。ということは,万博まで,これから2025年までがチャンスです。4年ちょっとあればいろんなことができます。この4年をうまく使って,先進的で,すばらしい大阪・関西というイメージを,日本,そして世界にどれだけ発信していくのかがとても重要になると思います。
 「2025年大阪・関西万博の意義」について,私の考えを少し説明します。私はこのコロナ禍を踏まえて,2025年万博は歴史的な万博になると考えています。
 来年ドバイ万博が行われます。1年延期しましたが,今準備しているものをやるのが精一杯かと思います。2025年は,このコロナも収束しているでしょうし,新しい生活が見えてくるはずです。一体何が残って,何が変わってというのが見えてくる。本当にポストコロナの新しい世界を示せるチャンスとなると思います。
 もう一つ,内向きとなっている日本人に,世界の現実を見せるということもあるかなと思っています。若い人ほどあまり海外旅行しないとかいわれますが,万博を開催すればどんどん世界中から人が来ます。

一極集中を止めるチャンス

 あともう一つは,東京一極集中を止めるチャンスがやっとやってきたと考えています。今回のコロナを見て,弊社の中でもやはり東京一極集中の弊害は大きいよねということが議論されています。一極集中を止めるためには,どこの国でもそうですが,2番手都市,3番手都市の元気がないといけないのです。関西・大阪が元気にならないと東京一極集中は止まらない。そのチャンスじゃないかなと考えています。
 今回の万博で何を目指すべきか,ということも考えたいと思います。私の中では「矛盾や対立事項との共存」,「古いものと新しいものの融合」といった万博になっていくのではと思っています。多分一番大きなテーマはオンラインとオフラインの融合になっていくと思います。コロナがあって,世の中のものが全てオンラインになっていくかというと,半年たってみて,オンラインに変わっていくものと,変わらないものがちょっと見えてきたと思います。今度の万博ではオンラインとオフラインを組み合わせて,どれだけ楽しい世界,安全な世界がつくれるのか,といった融合が非常に重要になってくると思います。
 私は今東京で仕事をしています。東京でこのような話をすることは,あまりありません。大阪に来るとこういった話をします。つまり今,大阪・関西の人というのは,日本の中で一番未来のことを考えていると言えます。目の前の仕事ばかりでなく,万博を通じて未来を考えています。だからこそ新しいビジネスが大阪・関西で生まれるんじゃないか,と考えています。

万博を未来社会への通過点に

 最後に2025年「以降」に向けてということで,われわれは万博に間に合わせないといけないのですが,大事なことは2025年以降の未来の姿を思い浮かべて,万博を通過点にしていくということだと思います。
 いい例は1986年のバンクーバー万博です。バンクーバーは港湾都市で物流拠点でしたが,万博を通じてコンベンション都市や情報拠点への移行という将来図を描いて,その通過点で万博を位置付けました。2025年の万博もやはり未来社会はどうあるべきか,大阪がどうありたいか考えて開くことが重要です。
 具体的に検討すべき事の中では,特に夢洲を世界最高水準のスマートシティに変えていくということが大事だと思います。スマートシティは地方創生の切り札になり,国として各地域を盛り上げるために考えているのがスーパーシティー特区だといわれています。夢洲は成功する可能性が高い地域ではないかと考えています。
 2025年以降の絵姿をどうやって描くの?ということを考えるときに私なりの答えは,ベンチマークを決めることだと思います
 個人的には,特に大阪にフィットしているのはバルセロナじゃないかなと思っています。バルセロナはオリンピックを契機にビッグイベントを使って街をどんどん変えていきました。非常に参考になると思います。
 今,全国からも大阪・関西に非常に関心が高まっています。ぜひとも皆様と協力して,よりよい大阪・関西をつくっていきたいと思っています。
(スライドとともに)