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2009年3月13日(金)第4,247回 例会

大阪復権、実現しよう!関西州

更 家 悠 介 君(化学工場)

更 家 悠 介  (化学工場)

1951年生まれ。’74年大阪大学工学部卒業。’75年カリフォルニア大学バークレー校工学部衛生工学科修士課程修了。’76年サラヤ(株)入社,取締役工場長。’98年同社代表取締役社長,現在に至る。’96年11月当クラブ入会。
’01年度幹事,’03年度国際奉仕・理事,本年度プログラム委員長。
(社)関西経済同友会 常任幹事,道州制・地方議会を考える会委員長。(社)日本食品衛生協会 常任理事。(財)地球市民財団 理事。NPO法人エコデザインネットワーク副理事長。2006年10月マレーシア・サバ州のボルネオ保全トラスト設立にあたり理事就任等公職多数。

 関西経済同友会で「道州制・地方議会を考える委員会」の委員長をやっており、道州制を勉強させていただいております。日本にとって、道州制というのは非常に大事だと思っています。なぜ道州制か。まず3つ理由を述べたいと思います。

 1つ目は、1990年から国は約500兆円のお金を使っていろんな事業をやってきていますが、なかなかうまく回っておりません。日本の中央集権的な体制の中で、リソースの配分がうまくできているのかと思うわけです。日本の競争力も総体的に落ちてきています。これは競争に負けているということですので、やはり今の体制でいいのかということです。

 少子高齢化が進んでおりますので、医療や福祉にお金がたくさん要りますし、働き手が総体的に少なくなります。産業競争力は500兆円もお金を出して衰えているのに、支出がどんどん増える。こういった中で年金は今後どうなっていくのか、今後医療ビジョンはどうなんだといったときに、われわれの今の国のあり方がもう一回問い直されているということがあると思います。教育も客観的に見ると質が低下してきており、その成果である学習到達度も落ちてきている。

国の形を見直す

 この閉塞感を打破するために,文化とか新技術というものを花開かせ,海外からもうけてくる企業をどんどん育成しないといけない。しかし,国の戦略と,現場の実態がかけ離れているのではないかという危機意識を持っている中で,国の形というものを見直さないといけないと思います。

 道州制の議論というのは実は古くからありました。国家の形を変えようということが真剣に議論されるようになったのは2007年ぐらいです。道州制ビジョン懇談会が道州制の形はどうあるべきかということを議論して,中間答申をこの間出されました。地方分権改革推進委員会でもこういったことを議論し,自民党の道州制推進本部も発足しておりますので,問題意識は国でも起こってきています。

地域主権型の道州制を

 官僚には「中央集権型道州制」を何とか維持したいという勢力があると聞いておりますが,私どもで目指したい形というのは,地域が主権を持ってみずからの意思で地域を発展させるという「地域主権型道州制」です。

 大体皆さんが引っかかってここで議論が止まるものに区割り案があります。何がいいかというのは,やはり地域の自主性というのが最終的に判断されます。県という単位で考えるのがいいのかどうかも含めて,いろんな案を考えればどうか。関西州のことを考えると,州都のことが問題になります。大阪や京都,神戸などいろいろありますが,むしろ大阪は商都,神戸は外交都,奈良は歴史都と,こういう形で機能をもう一回再編成していくという発想の中で,議論を動かしていくということが必要じゃないか。手前で引っかかってしまいますと,なかなか動きません。

「基礎自治体」が一番の基本

 道州の形というもので,一番基本になるのは基礎自治体というものです。行政の住民サービスがどうあるべきかということをベースに置いて,その中で一つの基礎自治体を考える。まず医療とか福祉とか初等教育といったものを自分たちの意思決定が届く範囲の中で遂行する。こういう基礎自治体をしっかり置かないとだめです。自分たちのことは自分たちで決めるから住民自治というものも成り立つということで,基礎自治体が非常に大事です。平成の市町村合併がありましたが,住民サービスはむしろ落ちている。住民のサービスとしての基礎自治体を考えるべきです。

 そこで,都道府県は緩やかに廃止をして,道州と基礎自治体にそういった機能を移していけばどうか。ただし,機能で妥当性のあるものは残したらどうか。そして,道州知事,道州議会,基礎自治体,国の出先機関,こういった形にするという議論があります。

 道州知事は直接選挙で道州の住民が選ぶ。米大統領選のように地域を遊説し,自分のポリシーを住民に直接訴える。道州議会も直接選挙し,米国のように意思決定の早い道州にしていけばどうかと思っております。

 国の出先機関というのは貴重な人材もいます。そういう出先機関をきちっと受け入れる。受け入れるけれどもガバナンスを変える。ですから,受け入れたうえで,例えば州議会とか,州の行政,知事のもとに行政体の中でそういったものを再編成していく。

 そういった中で関西広域連合という話があります。道州制議論がいろいろあるけれども,関西はできるところから始めようということで,関西広域連合は今年からスタートする予定です。例えばドクターヘリを飛ばしたら住民の人はわかりやすいから広域にやろうという話で,できるところから始め,参加したい市町村や府県から参加しようという動きです。

 関西広域連合(の段階)でストップしよう,(十分に)格好ついたやないかという,賛成だけど反対というグループと,関西広域連合から関西州までいこうというグループが混在していますので,このへんも皆様よく見ていただきたいと思います。関西は関西州をつくらないと今後の発展は見込まれないと私は強く確信しておりますし,皆様にもこのことをご理解いただきたいと思っております。