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2004年2月20日(金)第4,012回 例会

ドコモが描くモバイル社会

有村 正意 氏

NTTドコモ関西 代表取締役社長 有村 正意

1944年鹿児島県生れ。68年東京大学法学部卒業。郵政省入省。93年電気通信局電気通信事業部長。その後近畿郵政局長,通信政策局長を経て,00年6月退職。7月アンダーコンサルティング顧問。02年7月(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ関西顧問を経て,03年6月代表取締役社長。

 携帯電話は若者の間で「ケータイ」で通っていますが、もとは昭和54年(1979年)に自動車電話から発生しました。それは伸びなかったのですが、阪神大震災で有線が使えず、無線が役立つとの認識から普及が始まりました。私は当時近畿電気通信監理局長でメーカーなどから携帯電話を集めて神戸に送ったのを覚えています。私どものiモードの導入で、メール、インターネットへのアクセスができるようになり爆発的に増えました。全国の携帯電話加入者は約8000万人、関西では2437万の人口に対し1360万人で全国平均よりやや普及しています。そのうちドコモのお客様は710万でシェアは全国に比べやや低く、力を入れているところです。

広がるFOMAサービス

 カラー画面、カメラ搭載の機種が普及、FOMAというサービスを始めていますが日常生活、産業活動にどう使われているかを(映像を使って)紹介します。これは声だけでなく顔を見ながら話ができます。さらに会議もできます。遠隔監視も可能で外出先からペットに餌を与えることもできます。このリーガロイヤルホテルには犬専用の部屋があります。そこにFOMAの端末が接続してあり、お客様が携帯端末を持って外出すると犬の状態を観察できる訳です。

 また田舎に独居の母を残しているのが心配な場合「見守りホットライン」が役立ちます。これは母の家にあるポットに通信機をセットし、母が電源を入れたり、お湯を注ぐと都会で働く息子の携帯にメールで報告するというもので、今日も無事と安心できます。奈良県内のある幼稚園は広い地域から園児を集めており五台の通園バスを巡回させています。広域を走るので渋滞で遅れたり、また早過ぎたりで出迎えの親に気苦労をかけまいと当方のシステムが採用されています。それはひとつのコースに30か所ぐらいポイントを設置、バスが通過すると、親の携帯に通過時間がメール送信され到着時刻が分かるのです。また冷凍モノを扱う運送会社に冷凍庫内の温度をリアルタイムで伝えることもできます。

モバイルの無限の可能性

 2010年、携帯を活用する世界はどのようなものかを想定すると次のようになります。(会場ではドラマ仕立ての映像で紹介されました)

・PCハンドを使って遠隔地から立体物の感触を伝えられる。この機能を利用したネット上のコミュニティスクールができる。

・顧客の携帯端末と店の端末とが交信し、瞬時に支払いが完了。同時に顧客情報もインプットされ、配送直後、集荷の情報が届く。

・個人の端末とシステムが交信し、人の動きや状況が瞬時にわかる。

・医師、患者と病気のデータベースをモバイルネットワークで結ぶことで、どこにいても速やかに医師の診断が受けられるようになる。また遠隔地からの触診も可能になる。

・人間が踏み込めないジャングルなどの大自然も、大容量のデータベースを共有することでモニターできるようになる。

・モバイルネットワークを活用した個人認証技術とオールインワン端末で、空港のチェックインやパソコンコントロールを同時に一瞬で行えるようになる。

・ユーザーの端末が交信することで、自動的にバスなどが呼び出せる。さらに所要時間が分かったり、効率的な運行ルートの選択が可能になる。モバイルのあらゆる可能性を追求して、以上のような社会の実現を私たちは目指しております。例えばタクシーを呼ぶ場合でも、携帯からアクセスすると直接ドライバーと話ができる時代がもう来ているんだろうと思います。通信の理想は「いつでも、どこでも、誰とでも」ですが、携帯の世界はそれに加え「何でも」できることなのです。ですからもとは通信機能が基本ですが、時計も目覚まし機能もカメラもGPSも歩数計も、さらにはテレビもラジオもついている。携帯ひとつで何でもできる時代がやってくる気がします。モバイルインターネットに最もアクセスが盛んなのは韓国、次いで日本、中国で、モバイル時代はアジアの方が先に来るのではと思っております。

二つの課題

  その場合、解決しなければいけない課題が二つあります。一つは「使いやすさ」。携帯はどんどん難しくなっています。

  昨年末、奈良県十津川村で「友達から電話をもらったけど、この番号を携帯に登録して」と頼まれました。機種が違うので四苦八苦しました。また「同じ番号の人を四回登録してあるので一つにしてほしい」というのも苦労しました。

  この扱いが難しいのは技術が未熟な証拠と思っています。機械というのを意識しないで使えるようになるのが技術の最も進んだ姿で、その方向を目指すべきです。声で動かしたり、簡単な指のタッチで操作できなければいけない。もう少しお待ちいただければ使いやすくなりお役に立つと思います。

  今夏にはICチップ搭載の端末も出ます。JRに「ICOCA」というカードがありますが、あれと同じく携帯をかざすと定期券代わりに改札を通れるなど決済にも財布代わりにも利用できます。二つ目の課題はセキュリティーです。そしてどんどん便利になって行くと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。