大阪ロータリークラブ

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2003年1月17日(金)第3,961回 例会

ロータリー理解推進月間に因んで

今井 鎮雄 氏

国際ロータリー元理事 今井 鎮雄

1920年生まれ。'43年同志社大学法学部卒業。'61年神戸西RC入会。'80年~81年度2680地区ガバナー。'95年~97年度国際ロータリー理事。2003ブリスベン国際大会副委員長・2004大阪国際大会副委員長。現在、神戸YMCA顧問・兵庫県青少年問題協議会副会長など多数の要職を務める。

物質的互恵組織から社会奉仕へ

 RC(ロータリークラブ)は、1905年2月23日にシカゴで、ポール・ハリスを中心とする数人が集まってつくりました。2005年が100周年(丸100年経過)なので、シカゴではそのときに特別な集まりをしようといろいろ計画を検討中です。もう一度シカゴに戻って世界大会をしようという意見もあります。その前年の2004年はRCの100年目に当たり、この年には大阪で世界大会があります。100年目というのも大変な節目ですから大阪は重要な任務を担うわけです。

 その日、ポール・ハリスは4人と集まりました。彼は、お父さんが事業に失敗したときから田舎のおじいさん、おばあさんに育てられ、大変孤独な生活をしました。それで彼は仲間が欲しくてRCをつくったと言われます。最初は物質的な互恵を中心活動とする社交団体だったと言われています。

 定款の第1項は「自分たちの職業を通してお互いに支え合おう」。第2項は「親睦を大事にしよう」。集まったときはペーパーを出しあった。「私は何人の会員から何件の取引を受け取った」「私は何人の会員に何件の取引について影響を与えた」などと。原価でもらってどこかへ売るのですからもうかる。それを目当てにRCに入会したい人がたくさん出てきた。

 あるとき特許弁護士のドナルド・カーターを訪問して「あなたもRCに入らないか。こんな互恵の利点があるよ」と勧誘した。ところが彼は首を左右に振った。「自分たちだけの利益を考えるクラブは長続きしないと思うから私は入らない」と。断られたほうはびっくりして帰ってきて、ポール・ハリスら仲間数人と相談しました。「入りたいと言ってもなかなか入れないのに、ドナルドは入ることを否定した。なぜだ」と。断られてみなが怒ったかというとそうではなかった。「実は僕もそう思う」「私も」と同感の意見を言い出した。ポール・ハリスはこう言ったそうです。「そうなのだ。利益目的でクラブをつくることは間違っている。クラブは自分たちの利益のためにだけあるのでなく、社会のためにもあるのでなければいけない。それでなければ、私たちの集まりの意味が十分じゃない」。

国連のアドバイザー組織に

 こうして創立2年後に追加された第3項は「シカゴ市の最大の利益を推進し、シカゴ市民としての誇りと忠誠心を市民の間に広める」。言いかえれば、私たちはコミュニティーに対する責任がある、自分たちの地域社会が豊かでなければ自分達の仕事も目標も意味がない、ということを確認したわけです。

 ここでアーサー・シェルドンという人が出てきます。彼は、ビジネスの問題を真剣に考えた。「私たちは自分たちの職業を天職としよう。私たちは幸いなことに一人一人別の職業を持って集まってきている。言いかえれば、この町の中のあらゆる職業の代表者がここに集まってきている。その代表者たちが、自分たちの持っている職業を通してこの社会に奉仕をすることを考えるなら、私たちはすばらしい地域社会を生むことができるだろう。職業奉仕で地域社会に奉仕しようじゃないか」と。私が今ここで特にお話したいことは、RCは時代とともに少しずつ変わってきているということです。RCがどのような役割を社会の中で求められているかを問い直していくという仕事が、まさに100年前から行なわれた。これが、RCを考える一つのポイントだろうと思います。

 その後、第二次世界大戦があり1945年に終戦。人々は、国際連盟が世界平和にあまり効果がなかったことに気づきました。それでは、国を代表するのではなくて、人間を代表するというグループを新設の国際連合に入れよう、つまり国 (Government Organization)の代表の国連大使のほかに、Non Government Organizationの代表も集めよう、世界キリスト教協議会、仏教連盟、赤十字など人類的な規模でもっていろいろなことを考え行動する団体をアドバイザーとして国連に加えようと決めました。国際ロータリーもそのひとつになりました。

 戦後いろいろな問題がありましたが、最近は地球環境問題が深刻です。こうしたときに、RCは「3H運動」を始めました。3HとはHealth(健康)、Hunger(飢餓)、Humanity(あるいはHuman Development=人間が人間として成長するということ)。1972年以来、環境保全や資源問題の委員会をつくり、ロータリーとして人類的な意味でなにをどう考えたらいいか研究してきました。その結果、人類、国を越えて人類のために貢献をした人たちこそ大事にしなければならないと「国際理解賞」を1980年に創設しました。

国際貢献する若者を育てる

 最近、平和センターというのができました。世界の7つの大学に10人ずつ、そこの国でない学生たちを集め、大学院のコースで国際理解と国際紛争の問題について考えてもらう。2年間たってマスターをとった人にできるだけ国際機関で働いていただく。それは外国でなくてもよく、日本の学生なら日本の国際機関で働いてもいい。これからそういう人たちを2年間、毎年70人育てる。来年、再来年と続け、その人たちがRCの思想・哲学を持って、世界中の国際機関で働くことによって、世界が一つになるよう促すものです。

 RCはいまや単なる親睦団体でなく、世界の流れの中で大事な役割を果たす組織であることを覚えていただきたいと思います。日本のトップのRCである大阪RCの方々が、旗を振って先頭を歩いてくださったらありがたいと思います。