国際ロータリー第2660地区
危機管理委員会 副委員長

近 藤  眞 道 

1949年生まれ。’71年同志社大学経済学部卒業。(宗)根本山 神峰山寺 代表役員住職。’89年高槻西RC設立チャーターメンバー。’92年クラブ幹事,2016年クラブ会長。’01~’04年地区青少年交換委員長,’17年地区ガバナー補佐,’18~’20年地区危機管理委員会副委員長などを歴任。’19年社団法人RIJYEMアドバイザー。

 ロータリーの五大奉仕部門の一つに青少年奉仕があります。指導力養成活動,社会奉仕と国際奉仕プロジェクトへの参加,世界平和と異文化理解を深める交換プログラムを通じて青少年を養っていこうという考え方です。今回は,青少年交換を通じての性的虐待,セクハラの問題を皆さんで考えてもらうことにします。
虐待とセクハラ
 青少年交換は留学ではなく,両国の懸け橋となることです。同時に子どもを育てることです。年間約9,000名の子どもがこれに参加しています。日本には現在,約200名の子どもが来て,世界へ200名が出て行っています。
 かつて2660地区高槻西ロータリークラブ(RC)でホストをし,私の家にも滞在しましたアントーニ・スロドコフスキー君がこのたび,ピュリツァー賞を受賞しました。
 一方で,ホームシックになったり,学校とのトラブルがあったり,事故や事件に巻き込まれることもあります。実際,今までに日本から行った2人が亡くなっています。1人は交通事故,1人は池で遊んでいました。
 今,青少年保護と危機管理で最も重要なのは,性的虐待とセクハラの被害に青少年交換生が遭っていることです。それがロータリアンによって行われているのです。
 2004年の大阪国際大会の前大会で,英スコットランドヤードの警視正がこう言いました。「現在,児童虐待で刑期を務めているロータリアンがいます。私たちの調査では,児童虐待,小児性愛者がロータリー奉仕メンバーの中にいます」。さらに「ロータリーの組織は青少年を性的虐待から守る方策を持っておらず,非常にぜい弱です」と指摘しました。
 このときに,オーストラリアの公共放送ABCが,30年前に同国から米国に行っていた女の子が性的虐待を受けていたということを暴露しました。管理責任を問うべく,被害者は国際ロータリー(RI)を訴えたのです。
 それでRI理事会は’06年,ロータリー章典2.120「青少年の保護」を定めました。「RIは,ロータリーの活動に参加するすべての青少年のために安全な環境をつくり,これを維持するよう努める。ロータリアン,その配偶者,ボランティアは,接する児童および青少年の安全を考え,肉体的,性的,精神的な虐待から彼らの身の安全を守るため,最善を尽くす責任がある」としたのです。
ゼロ容認
 具体的な方策も決めました。まず「RIは虐待やハラスメントに対して,いかなる違反も法規適用する方針(ゼロ容認方針)を有する」。次に「性的虐待,ハラスメントの申し立てがあった場合には,第三者による徹底した調査が行われなければならない」―これが大阪では危機管理委員会になっています。そして「ゼロ容認方針に則り即刻,適切な法執行機関(警察等)に報告されなければならない」。さらには,もし被害の申し立てにちゃんと対処しなかったら,そのロータリアンは会員をやめてもらわなければならず,クラブも終結すると書いてあるのです。
 日本のパストガバナーからも「10年後にはきっと日本で起こるから」と言われ,それに対する方針を作りました。賠償責任が問われた場合,ロータリーを守る保険を日本で初めて東京海上日動火災保険に作ってもらいました。
 一番の根幹は,被害に遭ったときには即刻申し出てもらうという原則です。そして,クラブの中で処理せず,「すべて警察に言いなさい。事の是非はその後です」というスタンスになっています。
 実際,そのようなことがありましたので,即刻,この方針に基づいてRIに報告し,警察に知らせました。被疑者と思われる人は逮捕されました。被害に遭われた方は本国に帰り,父親がRIを訴えました。そのとき,われわれがきちんとした方針を持っていてあらゆる手段を講じていること,適切な法執行機関で捜査しているということで,父親は訴えを取り下げました。
 これによってわれわれは未然に防ぐことがある程度でき,もしも訴訟を起こされた場合には,保険を使って対処ができるようになりました。
一隅を照らす
 問題はセクハラ,ハラスメントとは何か,ということです。よく考えてみたら,われわれの心の中で思い当たることがあります。
 何か言ったときに「性的欲望」が自分の中に起こっていなかったか。他人を「差別」する心が起こってなかったか。人に対する「怒り」が起こってなかったか。「傲慢」な心が起こってなかったか。これは自己検証できます。
 性的虐待,ハラスメントをなくすにはまず,ロータリアン一人一人が,身を正すことから始めなければなりません。
 ロータリー章典にこう書かれています。「私は一人のロータリアンとして,誠実・高潔であり,高い倫理性を常に保ち,一個人としてまた社会人として常に行動する」
 青少年を育てるのがロータリアンの役目です。Shine,and the world shines with you(若者よ輝け,されば世界は君と共に輝く)。私たちは,光り輝く若者を育てます。そんな若者の輝きはきっと彼らの周囲を,社会を,世界を輝かせてくれる。そのような若者こそ,ロータリアンの宝,国家の宝であります。
 「国寶(こくほう)とは何物ぞ,径寸十枚是れ国寶に非ず,一隅を照らす此れ即ち国寶なり」。これは比叡山延暦寺を開いた伝教大使最澄の言葉です。Shine! and the world shines with you(あなたの周りの世界は,あなたの光によって輝く),すなわち「一隅を照らす」ということです。これをわれわれは実践していきたいと思っております。
(スライドとともに)


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