会 員

白 川  基 光 君(ソフトウェア開発)

1958年大阪府生まれ。府立都島工業高校卒業後,’79年羽柴エレクトロニクス(株)を創業。2012年ソプラ(株)に社名変更。’15年ミラノ万博プロモーション推進副委員長。’16年大阪日伊協会監事。同年関西経済同友会幹事。’18年同会海外交流委員会委員等を務める。’17年イタリア共和国功労勲章“ウッフィチャーレ章”受勲。
’18年11月当クラブ入会。

 近年,AIといいましたら,ビッグデータとか,ディープラーニングとか難しく言われます。今日は,AIがどのような生い立ちを持っているのか,AIの技術がわれわれにとってどういうような意味があるのか,何がこれから起こるのかをお話ししたいと思います。
AIの祖
 AIの基礎をつくったのはアラン・チューリングさんと,ジェフリー・ヒントンさんです。
 アラン・チューリングさんは,イギリスの哲学者で数学者。1954年に40過ぎで亡くなりましたが,コンピュータ界のノーベル賞といわれるチューリング賞というのを提唱して,その基金をつくりました。
 「機械は考えることができるか?」という定義,それが人工知能の定義の基本になっています。例えば私と話をするとして,私が人と話しているのか,人工知能と話しているのか,もし区別がつかなくなったら,機械は考えていると言えるでしょうというような定義をされました。今の人工知能の基本です。
 定義されたのは約68年前で,人工知能は今始まった技術ではありません。だから決して難しくはありません。「68歳の後期高齢者に何ができる」というぐらいに考えたほうが,正しくAIを使えるようになるでしょう。
 もう1人は(現在70歳前半で存命の)ジェフリー・ヒントンさん。今,世界のAIの一番大事なところを定義づけられているのが,ジェフリー・ヒントンさんです。去年,ニューラルネットワークでチューリング賞を受賞されました。ディープラーニングを高度に使えるようにニューラルネットワークを発明した「ニューラルネットワークの父」と言われています。
 さらにすごいのは,カプセルネットワークを考えられました。カプセルネットワークとは,例えばここにおられる皆さんが走り回ったとして,どの人が走っている,後ろを向いている,クルクル回っている,どの場合も,ちゃんと認識できるような技術です。これの実用化というのはまだ少し先ですが,もうそういうような時代です。そんなことをしたらプライバシーがなくなると思いますが,もうわれわれ凡人の頭では追いつかない世界です。
 アラン・チューリングさんとジェフリー・ヒントンさんのお2人がAIの祖,父です。
AIの歴史と今
 1956年に初めてAIという言葉が使われました。アラン・チューリングさんが機械の定義をしたのがその前の’50年。よって約68年前に始まっているAIについて,最先端技術と考え過ぎると,AIを使えなくなってしまいます。AIも不遇な時代があり,第1次AIブーム(’56年~’70年)では知らん顔されて開発できなくなり,第2次AIブーム(’80年~’95年)ではダーパ(DARPA・米国防高等研究計画局)がお金を出さなくなって開発ができなくなり,今が第3次AIブームです。
 インターネットも,アップルのSiriも,すべてダーパの国防予算で基礎研究をしています。AIもほとんどダーパの資金です。スタンフォード大学が開発した研究所では,維持費はダーパや米国の政府機関が90%出しています。そこでAIをどんどん開発しているので,日本が勝てるわけがありません。
 同じことをやろうとしているのが中国です。米国で研究していた研究者は皆中国に帰り,一昨年のAIの特許申請を世界レベルで見ると,はるかに中国のほうが多いのです。
 アマゾンエコーやグーグルホームの音声・言語・言葉を解析できるという技術は,これから高度化します。何十年も前から自然言語解析にものすごく力を入れられています。今,そのトップクラスがアップルのSiriです。あと10年もしないうちに,飛行機も車も家電も,スマホもPCも,いわゆるデジタルユニットが組み込まれている装置は,すべて音声になり,マウスもキーボードもなくなります。
これからのAI活用と関わり
 会社の中はカメラとマイクだらけで,会議室に向かっていく人が「今から会議が始まる」と言うと,話をした人の顔と声を認識して,その人がどういう会議をするのかということをAIは考えます。会議室には資料が全部用意されているのです。われわれにとってものすごくスピード感を感じる基本的な技術は,恐らく自然言語,これの解析技術だと思います。
 社員証もIDカードもなくなります。顔と音声でAIがコントロールします。これで,勤怠管理も日常業務の報告もメンタルヘルスチェックもできます。未病の段階でチェックできます。40兆円を超える社会保障費を抑えていくことができます。
 中小企業の経営者が「銀行に入金されたかな」と聞くとAIは「今日,450万円入金されました」と答える。「別の銀行も教えてよ」と言うと「入金されていない。だけど2 つ合わせたら6,300万円のお金があります」といった時代になります。この会話をAIと人がやれば,わずかに5 ~ 6 秒です。このようなことが簡単にできるようになります。
 またソフトウェア開発の業界では,2030年には何十万人というSEが足らない,70歳ぐらいまで皆働いても,50年ぐらいまでには270万人が足らないと言われています。それが,AIで作業していけばカバーできます。こういうことが一番AIを実感できるのではないかと思います。
 AIという技術は,われわれの生活を豊かにする本当に優秀なパートナーになり得るということです。これからいろんなAIが出てきますから,何をさせるのか,どういうふうなことをやるべきなのかを決めるのはわれわれですので,われわれが賢ければ,AIは何ら恐るるに足らず,何の心配もありません。ただ,われわれの考える力が稚拙であれば,AIを脅威に感じる,そういう構図になると思います。
(スライドとともに)


(C) Copyright 2002. The Rotary Club of OSAKA、 All rights Reserved.