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2022年1月21日(金)第4,819回 例会

大阪・関西の未来の都市とビジネス創造に向けて

黒 田  雅 美 氏

有限責任監査法人 トーマツ
関西リスクアドバイザリー事業ユニット長
エリアビジネス推進 執行管理者
黒 田  雅 美 

1967年大阪生まれ。’90年大学卒業後,4年間のコンサルティング会社勤務後,’96年に公認会計士試験に合格し,同年PwCコンサルティング(株)へ入社。’98年公認会計士資格取得。 2007年中央青山監査法人(当時みすず監査法人)の解体を受けトーマツコンサルティングに移籍。’09年監査法人トーマツへの移籍後,同年にパートナー(社員)就任。’16年より現職。

 本日は,「スマートシティ」とか「スーパーシティ」とはどういうもので,大阪でもその動きが高まっていることをお話しいたします。大阪がどのような街になっていくのか,その中でどんなふうにビジネスが生まれていくのかというところをご紹介させていただきます。

都市の魅力を変えるスマートシティ

 デロイトトーマツグループは1万4,500人ほどの専門家がおり,東京だけでなく,東北や中京,関西,九州などに拠点を置き,その地域に根差したプロモーションサービスを提供しています。我々は何か単発のサービスを提供するのではなく,課題を解決するために本当に必要なものをすべて取りそろえてご提供差し上げたいと考えています。グループ内の連携だけでなく,企業や行政と連携しながら,より高い価値を創出していきたいと願っているところです。
 その中でもスマートシティ,スーパーシティとは,都市の魅力を大きく変えていこうという取り組みです。どんな街かというと,デジタルを駆使していろいろなサービスが生まれるとか,データを利活用して生活の質を上げていく仕掛けがあるとか,そんな街です。
 スマートシティ,スーパーシティの取り組みは全国各地にモデル事業などとして広がってきています。関西でいうと,特に力が入っているのは大阪府・市であり,エリアでいうと,うめきた2期と,2025年の大阪・関西万博会場である夢洲となります。

住民が健康になる街を目指す

 デロイトトーマツは,大阪エリアで「スーパーシティ構想策定」などの支援を行っています。スーパーシティというのは,国が推進している取り組みで,いくつかの区域を認定して権限を与え,新しい街をつくることを後押しするものです。30弱の自治体が手を挙げており,大阪府・市も入っています。3月には区域認定が決定される見通しで,いよいよ新しい街に向けた取り組みが加速化していきます。規制緩和でこれまでの壁がなくなり,新しいビジネスが期待できます。
 スーパーシティの中でも,住民の方々が健康になる「スマートヘルスシティ」というものがあります。今の健康状態がどうなっているのか,これまでどんな病気をしてこれからどんなリスクがあるのか,どういう生活をすればより長生きしてもらえるのか,そんなサービスを提供できるような街を目指しています。実現するためには,健康診断や病歴のデータ,今のバイタルデータなどが使える仕組みが必要で,データを貯める「パーソナルデータバンク」をつくるという議論を進めています。大阪では具体的にどういうサービスができるのか,実証実験という形で,阪南市で取り組みを始めています。
 なぜ,大阪がこういったスーパーシティを目指すのでしょうか。世界有数の大都市である大阪で,夢洲はまだ何もないところです。これから新しい街をつくっていく上で非常に都合が良く,様々なチャレンジができます。25年の万博を一つの到達点と見て,もちろんその先も目指して新しい街をつくっていこうという動きになっています。

万博は未来社会の実験場

 おそらく万博のときには,健康になるレストランだとか,健康になる遊園地だとか,いろいろな取り組みを体験できるのではないでしょうか。万博は未来社会の実験場です。大阪府・市のスマートシティ構想もまずは万博を見据え,そして万博後にもつながるようなデザインを描こうとしています。
 我々デロイトトーマツグループは,大阪のスマートヘルスシティ実現に向けたコーディネーターを仰せつかっています。公民が連携して,まずは生活習慣病の予防や早期発見,そしてより先端的な医療に使える仕組みを目指します。さらに生まれてからお年寄りになっていくまで,それぞれのステージに応じたサービスがしっかりと受けられる仕組みをつくっていきます。つまり病気になって初めて医療を受けるとか,高齢になって初めて介護を受けるのではなく,介護を必要としない健康を維持するために日々の生活をどうサポートしていくのかに取り組みます。
 そして社会インフラとして,データを利活用する基盤を検討していきます。ゆくゆくは大阪府内の全43市町村の自治体に広げて,医療関連,健康関連,スポーツ関連,エンターテインメント関連,食品関連,保険関連など,様々な企業にもしっかり入っていただいて連携していきたいと考えています。さらにはビッグデータを使った創薬研究にも広げていきたいと思っています。
 住民の皆さんにデータを出してくださいといっても,きちんとインセンティブを渡してそこに恩恵を感じてもらわないといけません。どうやってデータを出してもらい,データを使って事業を生み出すためにどうやってそこにお金が回る仕組みをつくっていくのかをいろいろと考えているところです。皆様のビジネス創出につながっていくような取り組みになればと検討しています。
 3月には大阪府・市がスーパーシティに選ばれるかもしれません。そしてスーパーシティに選ばれれば,大阪府・市はこのヘルスシティ構想をしっかり進めていく方針です。新しい街がどんな機能を持ち,どんなサービスを生み出すのか,市民としての皆様が健康になっていただくのをご期待していただくのも一つですし,皆様の企業がそこに新しいビジネスチャンスを検討していただくというのも一つだと思っています。今日のお話が皆様にとって何かしらのお役に立てればと思っております。
(スライドとともに)