大阪ロータリークラブ

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2019年1月18日(金)第4,700回 例会

職業奉仕活動=ロータリアンとしての日常行動そのもの

髙江洲  文 雄 君(建 設)

職業奉仕委員会
委員長
髙江洲  文 雄  (建 設)

1950年2月生まれ。’73年に日本電信電話公社(現NTT)入社後,2003年NTT西日本取締役福岡支店長,’06年(株)NTTネオメイト代表取締役社長を経て,’09年(株)コミューチュア代表取締役社長,’10年(株)ミライト・テクノロジーズ(商号変更)代表取締役社長,’14年同・代表取締役会長,’15年同・取締役相談役に就任。現在は同・相談役。’10年3月に大阪RC再入会し(初回入会’07年8月),’15年プログラム副委員長,’16年R財団委員長・理事,’18年職業奉仕委員長・理事を務める。

 本日は,職業奉仕について私自身が考察し,到達した結論である「職業奉仕とは,ロータリアンとしての日常生活そのものではないか」ということについて説明をしたいと思います。

親睦と助け合いから奉仕の理念へ

 1月は国際ロータリーが定めた職業奉仕月間に該当します。職業奉仕月間とは,ロータリーの根幹とも言われている職業奉仕の理念を日々実践することを強調するために設定されたものであります。地区の奉仕委員会が主催した職業奉仕部門の研修会や委員長会議で配布された資料,それと国際ロータリーが編集したガイドブック「職業奉仕入門」を対比させて,考察をしてみました。
 一業種一会員を原則とし,ポール・ハリスら4名によって1905年にシカゴで創設されたロータリークラブは,「親睦」と「助け合い」から始まりました。“ロータリーの樹”に水と栄養を送る根の部分が「クラブ奉仕」であり,ロータリークラブの会員は各クラブにおいて奉仕の理想を学ぶことになります。
 会員は「ロータリーの目的」を基本理念とし,ハーバート・テーラーにより提唱された「四つのテスト」を遵守しながら,“ロータリーの樹”の幹の部分となる「奉仕活動」を実践し,ロータリアンに進化していきます。この過程で,アーサー・シェルドンが提唱した「超我の奉仕」と「最もよく奉仕する者,最も多く報いられる」という行動の哲学を邁進することになります。そして,これらの2つの理念は’23年の規定審議会で採択され,現在でもロータリーの標語(スローガン)として尊重されています。
 ’10年には全米16クラブの連合体として全米ロータリークラブ連合会が結成され,その際に最初の「ロータリークラブの目的」が制定されました。時代の変遷とともに改定が繰り返され,現在の「ロータリーの目的」は’51年に改定されたものです。この「ロータリーの目的」は「意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し,これを育むこと」と定義し,目的を達成するために4項目の分野がそれを補足するようになっています。
 「ロータリーの目的」でも高らかに宣言されている「奉仕の理念」の意味合いについて,国際ロータリーの初代事務総長を務めたチェスリー・ペリーが,’54年にオクラホマ州のタルサRCで講演した際に「ロータリークラブは,どこにおいても1つの基本となる理念を持っています。それは,他人に対する思いやりの心,助け合いの心」と解説しています。「ロータリーの奉仕」は「思いやりの心をもって他人のために尽くすこと」と言われる所以です。

職業奉仕こそロータリーの神髄

 「職業奉仕入門」では,「ロータリーの目的」の後に「職業奉仕という概念」の説明が続きます。ロータリーの第二奉仕部門である職業奉仕は,「ロータリーの目的」の第2項を土台とし,ロータリアンは「職業上の高い倫理基準」「役立つ仕事はすべて価値あるものという認識」「社会に奉仕する機会としてロータリアン各自の職業を高潔なものとすること」,この3点を奨励し,育むことが求められています。
 では,職業奉仕はどのように実践されているのか,いくつかの事例を見てみましょう。この卓話のような「例会で各会員が自分の職業について話し合い,互いの職業について学び合う」,皆さんが日常的に実践されているような「地域社会での奉仕プロジェクトで職業スキルを生かす」,本業における仕事への取り組み姿勢を示した「高潔の精神で仕事に取り組み,言葉を通じて模範を示すことで倫理的な行動を周囲に促す」,出前授業・職業体験学習・青少年奉仕といった「若者のキャリア目標を支援する」,グローバル補助金を活用したVTT(Vocational training team)への参加のような「専門能力の開発を奨励し,指導する」。「職業奉仕入門」によれば,以上述べた事柄を実行すれば職業奉仕を実践しているということになります。「職業奉仕に意欲と情熱を感じる人にとって,ロータリーほどその実践にふさわしい場はありません。職業奉仕はロータリーの神髄であり,ロータリーが他の団体と分かつ要素である」と説明されています。

個人の日常活動が職業奉仕に

 大阪RCは職業奉仕活動として,「職業体験学習」「出前授業」「職場見学」に取り組んでいます。職業体験学習については,日本生命病院,住友病院,大丸松坂屋百貨店,リーガロイヤルホテル,神戸吉兆リーガロイヤル店での職業体験に,大阪市立花乃井中学校の2年生15名が参加しました。出前授業では,昨年10月25日に大阪国際学園大和田高校で2年生約300名を対象に9名の講師が参加して実施しました。職場見学については,先週,NHK大阪を54名が訪問し,特別に「まんぷく」(外伝)の収録風景を模擬していただきました。
 大阪RCの中で,これまで職業奉仕をどのように捉えてきたのか調べてみました。一番重要なのは「職業奉仕は個人ベースでやるべきものだ」ということ。加えて「クラブは直接これに介入すべき性質のものではない」「クラブはそういう精神をサポートする」の3点の記述が残されていました。大阪RCの職業奉仕委員会としての活動は,職業体験学習,出前授業,職場見学,職業奉仕月間に因んだ記念例会など,極めて限定的な運用になっているといえます。そういう意味で,大阪RCは「職業奉仕委員会で取り組んでいることが職業奉仕なのではなくて,皆さんが会員として日常行っておられる活動自体が職業奉仕の活動になっている」と結論づけることができます。
(スライドとともに)