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2018年12月14日(金)第4,697回 例会

ドーンセンターの活動,
シングルマザーの現状

白 井  文 氏

一般財団法人 大阪府男女共同参画推進財団
(ドーン財団法人)業務執行理事
白 井  文 

1960年尼崎市生まれ。航空会社の客室乗務員や人材コンサルタントを経て,’93年から尼崎市議会議員。2002年に市長選に出馬。現職を破り,兵庫県内で二人目,全国最年少(当時)の女性市長に。’10年の市長選挙には出馬せず,同年12月で任期満了。現在も尼崎市在住。 現在,(一財)大阪府男女共同参画推進財団業務執行理事,前尼崎市長,グンゼ株式会社取締役。

 「シングルマザーの応援フェスタ2018」では,皆様から700点余りの寄贈品を頂戴いたしました。ありがとうございました。
 本日は,そのご報告も含めまして,私が関わっておりますドーン財団,正式名称は「一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団」。この財団の活動内容,またシングルマザーの現状について,話をさせていただきます。

日本の「男女平等ランキング」は114位

 それでは,まずドーン財団の基本理念・目的についてです。「男女が対等な立場であらゆる分野へ参加・参画することができる社会の創造」を基本理念とし,社会的・経済的な男女格差の是正,女性のエンパワメントのための専門的で総合的な支援機能を果たしていくことを財団運営の目的としています。近年は特に困難を抱えている女性たちの支援がメインになっております。
 1994年4月に財団法人大阪府男女協働社会づくり財団が設立され,この名称が今のドーン財団の初めの名称になります。大阪府の100%出資の財団として誕生し,11月に施設が完成。ドーンセンターの施設の管理・事業運営を受託することを目的とした財団でございました。しかし,2010年4月に大阪府の行財政改革により,法人は自立化することになりました。
 内閣府の事業が,現在は財団の大きな柱となっております。女性に対する暴力対策推進事業を中心に実施して,性暴力・性犯罪被害者の支援に関わっています。私も尼崎の議員や市長で政治・行政に関わってきたのですが,その間はそんなに女性に対する暴力の被害についての認識はございませんでした。しかしながら,内閣府の事業に関わって,女性の人権はどうなっているのかと大変ショックを受けました。自分の立ち位置や興味の範囲によって,世の中の見方が違ってくるということを思い知らされました。
 ここで改めて女性の現状についてご報告します。ダボス会議を主催していることで有名なスイスのジュネーブの世界経済フォーラムが,毎年男女の平等指数を算出して国際ランキングを発表しています。’17年版では日本は144カ国中114位で,先進国で最下位に近い状況になっています。
 厚生労働省の’16年の調査では,ひとり親の年収は母子世帯で243万円,父子世帯で420万円。父子世帯の半額ぐらいが母子世帯という形です。その理由は,母子世帯のほとんどが非正規で働いていることが理由です。母子家庭が非常に厳しい経済状況にあるのは,今の社会の状況から見ても理解していただけるかと思います。

シングルマザーにスーツを提供

 頑張っているシングルマザーを応援しようと,今年度,「シングルマザーの応援フェスタ2018」を計画しました。普段,一人で頑張っているシングルマザーが自己尊重感を上げ,リラックスし,さまざまな役立つ情報を得ることを目指すとともに,同じ立場の女性同士が安心して集って語る場づくりに努めることを目的に開催。通勤や会社の面接のときに活用できるスーツやジャケットをプレゼントする機会にしました。これは私たちの財団が特別に考えたことではなく,アメリカ,カナダ,ヨーロッパで活動しているNGOがシングルマザーにスーツや洋服をプレゼントする活動をしているんです。それを視察いたしまして,それを真似る形で実践しました。
 次に内容ですが,先ほどのNGOの活動紹介などもしながらのワークショップ,通勤用のスーツのプレゼント,アロマ・ハンドマッサージ,シングルマザーの先輩との語り合い,情報提供コーナーというものでした。

困難を抱える女性をサポートする社会に

 参加者は,大人63名,子どもが33名。参加動機は「同じ立場の人と話をしたかった」「離婚を考えているが,これからが不安だった」「スーツのプレゼントがあるから」。参加後の感想は,「自分と同じような立場の人がいる安心感が一番ありました。初めての感覚です」「ひとり親として,こんなに堂々とできて,皆と話ができてうれしかったです」「他の参加者と話したことがとても勇気になりました」などがありました。
 自尊心を持てない人たちが大変多く,自分がシングルマザーであること,離婚していることをママ友にも言っていなくて,いつ本当のことを言えばいいのか悩んでいることも,日頃から相談を受けます。ひとり親ということで,肩身が狭い思いを若いお母さんたちがしている。「そんなん堂々としたらいいやん!」と私なんかは思ってしまうのですが,こういった感想は非常に衝撃的でした。
 今の日本の社会では女性の活躍推進を掲げています。女性が活躍できる社会,また女性が活躍できるような,そういう組織のあり方ということを皆様方も模索されていると思います。しかし,輝きたくても輝けないような状況にある人,活躍したくても活躍するような状況にまでいけていない,いろいろな悩みや困難を抱えている女性がいることをぜひ知っていただきたい。頑張っている女性たちが,困難を抱えている女性たちをサポートする。そういう形で日本の社会のバランスが取れるようになれば,ますます生きやすくなるのではないかと思っております。
(スライドとともに)