大阪ロータリークラブ

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2018年1月19日(金)第4,655回 例会

職業奉仕雑感

髙 橋  秀一郎 君(不動産経営)

職業奉仕委員会
委員長
髙 橋  秀一郎 (不動産経営)

1954年2月生まれ。’76年4月阪急電鉄(株)入社。2003年6月同社取締役。’07年4月阪急不動産(株)専務取締役。’10年9月阪急リート投信(株)社長。’12年6月大阪地下街(株)社長。’16年4月よりオーエス(株)代表取締役社長。
’12年11月当クラブ入会。’14年友好副委員長。’17年職業奉仕委員長・理事。

 職業奉仕委員長に就いたことで,研修会や勉強会を通じて,これまであまり意識してこなかった「職業奉仕」について学ぶ機会を得ました。多くの会員には聞き飽きた話かもしれませんが,毎年20人を超える新入会員が加わります。「どうもわかりにくい」とも指摘されるだけに,ここで少し再整理します。

「職業奉仕」はロータリーの「幹」

 理解を深める基本となるのが,「ロータリーの樹」の概念です。1905年にポール・ハリスら4人の親睦,助け合いから始まったロータリークラブを樹木に例えたもので,まず水と栄養を送る「根」にあたるのが「クラブ奉仕」です。会員はクラブという学校の中で奉仕の理想を学び,その真意が「共存共栄」にあると理解します。そして,ロータリアンの行動規範である「四つのテスト」による奉仕活動の実際を体得することによって,真のロータリアンに進化します。

 クラブ奉仕を根っことすれば,職業奉仕はその上に成長する「幹」に当たります。そして,幹の先に伸びた枝や実った果実が「青少年奉仕」であり,「社会奉仕」であり,「国際奉仕」です。だから,これらの奉仕も広い意味では職業奉仕に含まれます。私が一番しっくりきたのは「ロータリー本来の目的は,サービスの理想・理念を事業の根底に取り入れること。これを一言で表現したのが職業奉仕だ」という説明でした。

しっくりこない日本語訳

 英語の「Vocational Service」を「職業奉仕」と訳したことが,わかりにくさの原因につながっているという指摘があります。

 様々な英単語が日本語の「職業」として使われていますが,ロータリーで用いられる「Vocational」は,もともと「天職の」とか,「職業上の」とか,「職業的な」といった意味合いが強いものです。終身雇用・年功序列を原則にしてきた日本のサラリーマン社会では,特に捉えにくい言葉になっているのではないかと思います。

 次は「奉仕」をどう訳するかです。英語の「Service」と,日本語の「奉仕」とは随分,ニュアンスが異なります。日本ロータリーの生みの親とも言うべき米山梅吉翁も,当時そのまま「サーヴィス」というカタカナを当てていたこともあるそうです。戦後の日本では「奉仕」が必ずしも「無償の行為」とは直結しないと考えられるようになったことから,そのままになっているとも聞いています。

 私自身,当クラブ入会後に,勤務する会社が一度変わっています。社会人となってからの経歴を考えると,「あなたのVocationは何ですか」と問われたとき,少なくとも今の職業分類「不動産経営」というのはしっくりこないというのが本音です。

 元来,ロータリークラブは「現役職業人」の集まりで,「一業種一会員」を原則としてきた歴史的背景もあって,当クラブの職業分類の先人が苦労して制定されてきました。しかし,業態や働き方はどんどんと変わりつつあり,ほぼ完全に会社からリタイアされたOB会員の方も多数いらっしゃいます。とすれば,職業奉仕を語る時の「職業」と,クラブ会員の「職業分類の職業」とは一旦別物として考えたほうがよいかもしれない。個人的にはそう思っています。

 日本語訳が的確ではないという疑念は,「四つのテスト(Four-way Test)」にも当てはまります。わが国では,もともと江戸時代からの商人道とか,あるいは三方よしなど,「四つのテスト」に似る商道徳とか職業倫理の下地があったと言われています。だからこそ,「四つのテスト」を中心とする職業奉仕の概念が,わが国独自に発展したと言われるのですが,最近の企業不祥事などを見ると,「四つのテスト」のフレーズを現代版に書き直し,もう一度,再評価する必要があるのではないでしょうか。

意識的な職業奉仕の実践を

 当クラブでは,本年度も意識的に職業奉仕を実践しています。先陣を切ったのは「職業体験学習」で,昨年10月17日,18日の2日間,5つの事業所の協力を得て,大阪市立花乃井中学校の2年生を現場で受け入れてもらいました。

 私の所属企業,オーエス(株)が神戸市内の事業所で長年実施する取り組みも紹介します。阪神淡路大震災から3年後の1998年,兵庫県が始めた中学生の職業体験学習「トライやる・ウィーク」に,当時のオーエスの直営映画館の三宮「阪急会館」が協力したのが始まりでした。その後、閉館した映画館にかわり,新たに開設したミント神戸やハーバーランドのシネコンでこの内容を引き継ぎ,現在ではグループ子会社のOSシネブラザーズで,毎年,中学2年生,あるいは3年生を各校から2名から4名ずつ5日間受け入れます。昨年も6月に1校4名,10月に1校4名,11月に4校各2名,計16名に体験してもらいました。具体的には現場でお客様の案内や,入場券の確認,売店業務,館内清掃等,現場の業務を体験してもらいます。近年では阪急阪神グループの社会貢献活動「未来のゆめ・まちプロジェクト」のーつとして定着しています。

 当クラブの出前授業は2007~08年度から大阪市立花乃井中学校への出前授業を職業奉仕の一環として始め,2011~12年度からは大阪国際大和田高等学校にも拡大してきました。本年も2月に両校で予定しています。私も挑戦します。今年度の新規登録は私も含め5名ですが,さらに増やしていきたいです。

 最後に,個人的には例会への出席率向上を決意しました。職業奉仕の実践には,まずは会員としての義務を果たすのが基本中の基本と考え,今年度は今のところ100%をキープしています。ご清聴ありがとうございました。

(スライドとともに)