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2014年7月18日(金)第4,494回 例会

「アーツサポート関西」始動

堀 井  良 殷 君(協会・団体)

会 員 堀 井  良 殷  (協会・団体)

1936年生まれ。’58東京大学卒業。NHK大阪放送局長,理事・営業総局長を経て,’99年から財団法人大阪21世紀協会(現・公益財団法人関西・大阪21世紀協会)理事長。2001年当クラブ再入会,’06年プログラム委員長,
’07年理事・友好委員長。

 皆が何かできることをやれば,もうちょっと大阪が元気になるんじゃないだろうか,というのが趣旨です。「アーツサポート関西」についてのお話ですが,その前に背景をお話ししたいと思います。

 かねがね気になっていましたが,大阪の人が「大阪はこうだ」と思うことと,大阪以外の人が大阪を見る目にギャップがある。これはなぜだろう,とずっと気になっていて,調査をしたことがあります。

大阪のイメージ

 まずは修学旅行に来る生徒さんに「大阪にどういうイメージを持っていますか」というアンケートをやって,その後,関西大学の須山教授と一緒に社会調査もやりました。出てきたのは「犯罪が多い」「猥雑だ」「ゴチャゴチャしている」「がめつい」「マナーが悪い」。ろくなことを言われてないんです。

 しかし,来てみればそんなことはないはずだ。活気もあるし,パワーもあるし,人間味もあるし,文化伝統もあるよ,と。こういうふうにわれわれは反論するのですが,外から見た大阪との間にギャップがある。

 海外で大阪の紹介がどのようにされているか,という調査も数年前にしました。英語,中国語,韓国語,フランス語,ドイツ語,タイ語の6カ国語,92冊の観光ガイドブックを取り寄せたところ,びっくり仰天,椅子から転げ落ちました。ほとんどが似たような記事なのですが,「大阪はヤクザの溜まりの町である。ミナミには引っかけ橋というのがあって,田舎から出てくる女性を若者がハンティングしている」と書いてあります。

 こういう情報が出るのは恐いです。ビジネスマンも見ているのかと思い,ぞっとして,「改めてくれ」と直ちに抗議しました。

繁栄の鍵は文化力

 都市が繁栄していくにはイメージは非常に大事です。経済が栄えていくにはイノベーションが必要です。創造力や文化力があって,イノベーションが生まれる。

 尊敬される都市になるには,今のようなことを言われてちゃいけない,何とかしなきゃいけない,という危機感を持つわけです。

 では,本当の大阪はどうなの,と言ったときに,よく言われるのは「文化遺産,世界遺産の大半は関西にあるよ」。ハードはそうですが,人材はどうなんだ,というのを調べてみました。

 重要無形文化財・芸能保持者は全国に占める比率が非常に高いし,同・工芸保持者の3割近くが関西におられる。選定保存技術保持者は70%が関西に住んでいる。

 新しいことを創造する彫刻家,画家,デザイナー,音楽家,俳優,演芸家なども,関西には約4万6,000人おられる。東京にはかないませんが,人材ストックはあります。

 ところが,この人たちがどう思っているかというと,大阪文化団体連合会の名簿記載団体にアンケートをしたところ,約半数が「非常に厳しい」「やや厳しい」「困っている」と答えています。

 各国の文化予算と寄付額の比較表があります。フランス,ドイツは圧倒的に国ないしは自治体が文化を応援している。韓国,中国もしかり。これに対し,米国は圧倒的に民間が応援している,国はほとんど関わらない。英国は,行政も頑張るが民も頑張っている。

 日本は,行政も民も一生懸命やっているとは思いますが,各国に比べると少ない。これでは尊敬される国にならないし,イノベーションを生む力も足りないのではないか。

 行政,国にも頑張ってもらわないといけないけれど,民もやれることがあるんじゃないか,ということで,関西経済同友会で英国のエディンバラに行き,民の力をどうやったら出せるのか,という勉強をしてきました。その結果,「アーツサポート関西」を発足させようという動きになり,関西・大阪21世紀協会で制度設計を考えました。

 演劇,音楽,美術,映像など8分野があり,寄付する人が何を応援したいかを指定して寄付できる。5万円以上寄付した場合は,お名前を冠にした個別基金をつくる。オペラを応援したい方は「オペラ」と指定をして,Aさんなら「A基金」という個別基金を設置します。

寄付していただいた方のお名前をインターネット上で公表し,それを見たアーティストが応募する。税の優遇措置をもらったので,寄付金額から2,000円を引いた残りの額の所得控除か,税額控除か,どちらかを選択できます。寄付しっ放しではなく,できれば,寄付を受けた方と寄付した方が交流する機会をつくっていきたい。

パーティーに1,650人

 アーツサポート関西を皆さんに知っていただくため,周知も兼ねたファンドレイジングパーティーを5月8日にやりました。

 リーガロイヤルホテルに800人入れる会場を用意しましたが,事前の話では「まず300人がいいところじゃないか」。会費1万円で300人。安藤忠雄さんに「何言ってんだ。30人来ればいいよ」と言われました。

 なんと,ご出席は1,650人。当クラブの会員の皆さんにもたくさん出席していただき,ありがたく思っています。

 安藤さんは「大阪の未来は明るい。これは一つの証明になるぞ」と言ってくれました。この後,続々と寄付の意向が寄せられています。

 年会費1万円のサポーターも募集をしています。お手元にご案内を差し上げていて,裏側にお名前を書く欄があります。「きょうの話はまあまあ興味あるわ」という方はお名前だけを書いてください。詳しくはこちらから連絡させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(スライドとともに)