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2013年12月6日(金)第4,466回 例会

大阪ガスグループ社会貢献活動
~障がい者の方への就労支援とIT支援~

西 辻    茂 氏

オージス総研(株) 
社会貢献活動推進室長
西 辻    茂 

1950年生まれ。’74年大阪府立大学機械工学科修士修了,大阪ガス(株)に入社。’83年オージス総研(株)設立とともに同社に出向。’01年システムサポート事業部長。’03年同社取締役に就任。’10年社会貢献活動推進室長。

 オージス総研は,大阪ガスグループ企業です。環境保護から始まり,障がい者の方の就労・IT支援を目指す社会貢献活動「はじまるくん」についてご説明させていただきます。

「もったいない」の気持ちから「はじまるくん」スタート

 「はじまるくん」は,「もったいない」と単純な思いから始まりました。企業は社員が使うパソコンを順番に入れ替えており,倉庫には使い終わったパソコンがたくさん集ってきます。

 これらのパソコンはビジネスの武器としては入れ替えが必要でも,それほど性能を必要としていない用途では十分使えます。「何とかできないか,という思いから,オージス総研では2005年から使用済みパソコンのリユース事業を始めています。使用済みパソコンからすべてのデータを消します。シールなどをすべてはがし,中古市場に戻します。

 2008年になって,パソコンのリユース事業をもとに社会貢献ができないかと,寄贈することを考え始めました。相談に行った行政の福祉課では「障がい者の皆さんが通われている福祉作業所では,障がい者の方に適した仕事をもっとたくさん欲しがっている」と教えていただきました。

 ある統計によりますと,国内に740万人の障がい者の方がいます。働く世代の方が400万人。そのうち,約40万人が一般企業に勤めています。残り約360万人は福祉作業所と呼ばれる施設に通っています。「利用者さん」と呼ばれています。

 一般的に福祉作業所では,単純な軽作業が主流で賃金も高くありません。そこで私たちは,パソコンの再生作業を利用者さんにお願いすることはできないかと考えました。それで,2009年にパソコンを磨く「クリーニング作業」の委託を始めました。一方,多くの福祉作業所では古いパソコンを使ったり,十分な台数がなかったりします。

 私たちは,この「もったいない」,そして「もっと仕事を」,「パソコンが欲しい」,3 つの状況をうまくつなげるようにしようと活動を開始,「はじまるくん」と名づけました。シンボルキャラクターとして,「少年忍者はじまるくん」を作りました。

 「はじまるくん」にご賛同いただいた支援企業には,使用済みでまだ使えるパソコンか寄付金のいずれか,あるいは両方を提供していただきます。そしてこの寄付金は,福祉作業所による再生作業などの実費として使われます。データやソフトウエアなどは完全に消去して,その使用済みパソコンを福祉作業所にお届けします。

 福祉作業所ではパソコンの再生作業,すなわちクリーニング作業,そして基本ソフトの導入作業などをしていただき,この利用者さんの作業に対して先ほどの寄付金から作業費をお支払いするということになっております。そしてそのピカピカになった再生パソコンを,地域の福祉施設や市民活動団体に寄贈します。

企業,福祉作業所,寄贈先の協力で成り立つ

 この「はじまるくん」は支援企業,福祉作業所,寄贈先をはじめとする多くの方々の協力なしでは成り立ちません。福祉作業所は,近畿を中心に愛知県や東京都を含む11の作業所でクリーニング作業や基本ソフトの導入作業などをしていただいております。

 次は寄贈先についてです。福祉施設や市民活動団体に,これまで641団体に980台のパソコンを寄贈してきました。寄贈先の,ある福祉施設では「はじまるくん」パソコンコーナーをつくってもらい,利用者さんに開放してインターネットを使う体験をしてもらいます。

 以上ご紹介させていただきました「支援企業・福祉作業所・寄贈先」をつなぐのがはじまるくん事務局です。オージス総研の社会貢献活動推進室の私と,もう一人が中心となって活動しています。また,オージス総研グループ社員の3,000人も,この活動を誇りに思い応援しています。大阪ガスグループの皆さんにも支えられています。

 続きまして,具体的な寄贈プログラムをご紹介させていただきます。大阪ガスグループは2010年から「はじまるくんパソコン寄贈プログラム」を行い,近畿の福祉施設に「はじまるくん」パソコンを寄贈しています。12社2団体の参加という「はじまるくん」の中でも最も大きな寄贈プログラムになっております。さらに大阪ガスグループでは,独自の寄贈プログラムを実施する会社もありまして,まさに大阪ガスグループ全体で「はじまるくん」を盛り立てていただいております。

 また,東日本大震災の後,2011年からは震災の復興に役立てたいというご希望があり,東日本大震災の関西への避難者の皆様に計44台のパソコンを寄贈しています。

「笑顔」に会える社会貢献活動

 私たちがこの活動をしておりまして最もうれしいことの一つが,いろいろなところで「笑顔」に会えることです。福祉作業所では,今までにない仕事ができることで笑顔が生まれています。寄贈先の施設,支援企業でも笑顔が生まれています。「はじまるくん」を通してこれらの笑顔をつないでいるのだと思っております。

 次は「はじまるくん」が賞をいただいたという話で恐縮なのですが,紹介させていただきます。今年2 月に「はじまるくん」は第10回フィランソロピー大賞の特別賞,「働く誇りをともに賞」を受賞しています。フィランソロピー大賞は公益社団法人日本フィランソロピー協会によるもので,権威ある賞として位置づけられています。社会の課題解決のために自社の経営資源を有効に活かし,経営理念にのっとった社会貢献活動を顕彰するものです。オージス総研ではこの活動は小さくとも息の長い社会貢献活動にしていこうと思っております。(スライドとともに)