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2013年6月7日(金)第4,442回 例会

ずぼら健康法のすすめ
―転倒予防のための30分運動―

石 黒  久 雄 氏

NPO法人 日本運動療法推進機構
理 事
石 黒  久 雄 

1939年生まれ。’63年南大阪病院理学診療科に就職。’80年同病院リハビリテーション科室長。’87年特定医療法人 景岳会 南大阪ファンクス開設と同時に健康開発増進部部長。2001年退職。現在複数のNPO法人などで常任理事や常務理事等務める。

 「ずぼら健康法のすすめ」というのは,私のライフワークです。父親が京都の大徳寺の坊主で,幼少のころに一休禅師の話をようしてくれました。いまだに印象に残っているのが,一休さんの「一休み,一休み」という言葉です。私,健康づくりやなんやて指導しておりますが,皆さんのやっているのを見ていると,余りにもやり過ぎというのが多いなと思うようになりまして,「一休み健康法」というのを考えました。

 そうこうしているうちに,自身のずぼらな性格に気がつきました。私は腰椎の3番,4番にきつい分離すべり症があって,整形のほうで手術せいと何度も言われていたのですが,手術せずしてここまで来たという性格があるので,運動を皆に勧めるのであれば,どっかでずぼらなゆとりのあるような指導をしたらどうやろうかなと思いまして,「ずぼら健康法のすすめ」という言葉を10年来使っております。

「プール教室」をスタート

 スライドをお見せしながら,進めてまいります。私は,35年間総合病院のリハビリテーション科に勤務しておりました。後半は,厚生労働大臣認可第1号の「健康増進施設」の責任者として,その当時は珍しかったと思いますが,骨密度のチェックをしながら運動指導をしていきました。退職後,社団法人のメンバーとして各地で中高年齢者を対象に健康の講演活動をしておりましたが,その後,京都初のウェルネスクラブから声をかけていただいて,「プール教室」をスタートさせ現在に至っております。

 プールで,手をつないで浮かんでいる写真ですが,この方々は,医療関係から紹介されている腰痛・股関節・膝の疾患の方々です。浮力を利用して水中でのリラクゼーションのプログラムでやっております。こういうプログラムをやっているところは,ほかにまだあまりないと思います。

 シンクロの井村さん,中国のシンクロ指導者になって話題になったこともありますが,私,懇意にさせてもろてまして,この写真は,井村さん創設の「井村シンクロナイズ」のオリンピック選手だった人たちです。彼女らが引退することになったときに,「皆で水中運動を啓蒙しようや。特に中高年齢者に対する水中歩行をメインにしたプログラムをつくろうやないか」ということで,プログラムをつくったことがあるんです。

 井村さんは,「『ハンディ』という言葉と,『仕方がない』という言葉は使うたらだめです。私は指導員になってから一回も使ったことがない」とおっしゃっているんです。年のハンディがあるからどうやとか,今日はこんなんやから仕方がないとか,よく言いますよね。「鬼の井村」と言われる私の大尊敬している井村先生は,一回も使ってないということをいつもおっしゃっているんです。私も言わないように心がけているんですが,先生にはとうてい及びません。

腰痛にはゆっくり水中歩行

 これからは実際に皆さんにもやっていただいたらいいんじゃないかと思いますが,プールの中でやる膝関節のトレーニングです。最近は,整形のほうでも伸展運動ということで,できるだけ膝を伸ばしましょう,伸ばしましょうと指示されるんですが,痛くてなかなか膝は伸びない。それで,プールの中で抵抗を加えて指導をしています。

 私が持っている腰椎の分離すべり症も,運動をしていると結構いいんです。ところが,酒飲んだりしてやらなかったりすると痛くなるんです。やっぱり継続しないといけないんじゃないかなと思います。

 これは水中歩行です。腰痛の水中歩行のやり方はたくさんあるのですが,私はその日によって5種目ぐらいをやります。1,000メートルやってると言う人もいらっしゃいますが,私は500メートルと考えています。1種目100メートルを5種目ぐらいやって,ゆっくり泳ぐ時間があれば,トータルで1時間ほどかけて,1,000メートルほど運動をされたらどうかなと言うております。

「壁腕立て運動」の勧め

 私,スタッフに「姿勢が悪いです,年寄りくさい」とずっと言われていたんです。腕立て伏せをやるように言われますが,しんどくてたくさんできません。だから,壁に向かって腕立て伏せをやる――私はこれを「壁腕立て運動」と言っております。壁に両手を当てて,90度の姿勢で,胸を張って,腕立て運動をします。肩甲骨が動いてきます。私はこの運動が大好きで,どこに行っても勧めています。

 昔,肋膜をやってて,左の肺の3分の1がない。ダイビングでは空気の消費量が少なくてよかったんですが,素潜りでは息をこらえないけませんから全然だめなんです。この壁腕立て運動をやるようになって,今だったら3分間息をとめていることぐらい軽くできるんです。

 ――以上でスライドは終わります。

 運動習慣は,「姿勢・筋力・柔軟性」の3つを頭に置いたプログラムをされることです。それから,上肢の運動・下肢の運動・お腹の運動(体幹)の3つを満遍なくなさって,中高年の方であれば「1週間に30分を3回」を3ヵ月ぐらいお続けになったら,無理なくそれが継続できるようになると思います。

 さっきからずぼら,ずぼらと言いましたが,まずは継続していただきたい。一生懸命,汗ダラダラの運動はなさらないようにしていただきたい。無理をしていたら,悪うならんはずがない。そういうことをしない運動が,私は「ずぼら健康法」やと思っております。これで終わります。どうもありがとうございました。