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2013年4月12日(金)第4,435回 例会

あしながアフリカ遺児 教育支援100年構想

玉 井  義 臣 氏

あしなが育英会
会 長
玉 井  義 臣 

1935年大阪生まれ。’69年,交通遺児育英会が設立され,専務理事に就任。’83年あしなが育英会の副会長,’98年に会長就任。

 母親が大阪・池田の自宅の前で交通事故に遭ってから,50年間,評論活動と救済活動をやってきております。ビデオを見てください。(英文のビデオ。これまでの募金活動家としての実績と人物を紹介。この活動によってファンドレイジング(募金活動)大賞に選ばれ,2012年10月7日,オランダのアムステルダムで表彰式があった)最初は「交通遺児育英会」として発足しましたが,現在は「あしなが育英会」として災害遺児,病気遺児の支援を行っています。2011年の東日本大震災では2,000人の子どもが遺児になりました。この遺児のためにいち早く特別給付金を出しました。育英会は44年間で900億円の寄付を集め,9万人の遺児に資金を貸与し,高校・大学への進学を支援してきました。近年は「あしながアフリカ遺児教育支援100年構想」を提唱,実現に向けてさまざまな活動を続けています。

(スライドとともに)世界中には親のいない子がたくさんいて,貧乏でその日のめしも食えない子がアフリカあたりにいっぱいいるのを見て,死ぬまでもうちょっと頑張ろうかと思って,やっているきょうこのごろです。

アフリカの子どもを大学に

 経済のグローバル化によって貧富の差がますます激しくなって,そういう子どもが無限に出てくる。遺児について言うのならば,一番貧乏なアフリカの子どもを何とか大学に行けるようにして,その子たちの中からアフリカのリーダーが出てくるだろうという思いで100年計画を考えました。サハラ砂漠の南には49の国がありますが,その国の遺児のために世界中の人たちがお金を出し合う。それは個人,企業,基金,あるいは大学が毎年1人無料で預かってくれるという形で,49の国それぞれの一番優秀な遺児のめんどうを見る。私は10年ばかりウガンダの首都カンパラから1時間ぐらいの小さな村を拠点に活動しています。初めの目的はエイズ遺児の心のケアだったのですが,教育を施すことが貧困から抜け出る早道であることに気がつきまして,「TERAKOYA(寺子屋)」を開き「読み・書き・計算」を教えることを10年やってきました。それを世界に広げられないかと思ってやっているのが,この「あしながアフリカ遺児教育100年計画」です。

世界の著名人が活動に協力

 『あしながおじさん』という小説は有名なようで,読んでいる国は日本とフランスで,アメリカ人はほとんど知らない。『あしながおじさん』の本が出て昨年が100年目だということで,作者ジーン・ウェブスターの出たアメリカのバッサー大学に何回か足を運び,学長に会いました。100年記念に何かやろうかということで,バッサー大学のセレブのお嬢さんの合唱団と,私がやっているウガンダの「寺子屋」の子どもたちの歌と踊りによるコラボを舞台でやらないかと学長に言ったら,すぐ応じてくれたのです。ただ,どっちも素人ですから,なかなか実際には動きません。去年の暮れ,ジョン・ケアード氏(『レ・ミゼラブル』をブロードウェイでヒットさせている演出家)に「世界の大金持ちのお嬢ちゃんと食うや食わずの子どもを舞台で何とかせえへんか」と言うたら,ピーンと来たのでしょうね,「俺にやらせろ」とボランティアで演出を引き受けてくれました。『オズの魔法使い』の作曲家もボランティアで引き受けてくれました。「日本人が提案しているのだから,日本の津波遺児を入れたらどうや」ということで,津波遺児の和太鼓を入れて,その3チームで来年,再来年ぐらいから毎年世界を歩いていこうと考えています。ニューヨーク,ワシントンDC,ロンドン,パリ,ウガンダ,東京で,この歌と踊りのコラボを見てもらう。こんなに格差がある社会はおかしいのではないかとわかってもらえたら最高にうれしいと思うのです。

ITによる少額の寄付集め構想

 もう1つはお金を集める方法。49ヵ国ですから,49の財布をつくろう。例えば,大きな企業グループ,基金,個人のお金持ち,大学などでそれぞれ1人,合わせて40人ぐらいめんどうを見てもらう。私が夢に見ておりますのは,あと9つの財布は,世界の地球の隅々から1ドルとか50セントとかをIT技術を使って集める。もし世界の隅々の「あしながさん」から小さいお金を集めることができれば,世の中をよくしていくのではないか。これをこれから研究していこうと思っています。勉強したことのないアフリカの子を大学に合格させるには,ちょっと時間がかかる。しかし,夢を持たせてその勉強をさせることは,世界をよくしていくのではないですか。この考え方を広げていくと社会は優しくなる。その社会の優しさを地球の隅々にまで行き渡らせる。地球の隅々から「あしながさん」という形で1セント,10セント,1ドルとかのお金を集めて,勉強をさせる。そして,その子たちがリーダーになって母国に帰る。そこでアフリカはよくなるのではないですか。アフリカは2050年には人口が20億になります。来世紀初頭には30億。緒方貞子さんに聞いたのですが,3人に1人がアフリカ人になると言われています。30億人が生きるためにたくさんの消費をする。どこかで勉強したリーダーが自分の国に帰って平和で平等で普通の国にするために努力をすれば,その過程で国が非常によくなるのではないか。

 こういう席でこの話をするのはきょうが初めてです。皆さん方のご理解を得て,この話があちこちで出てくるようになればと思います。イギリスの演出家ジョン・ケアード,アメリカのバッサー大学学長のキャサリン・ヒル,東京の玉井の3人で,世界公演の共同声明を来週オックスフォードで文書にするつもりです。私が今まで経験したそのやり方で行くならば,十分に勝算ありと思います。