大阪ロータリークラブ

MENU

会員専用ページ

卓 話Speech

  1. Top
  2. 卓話

卓話一覧

2011年12月9日(金)第4,374回 例会

散華とは何か? 散華の楽しみ方

岡 村  元 嗣 君(印刷業)

会 員 岡 村  元 嗣  (印刷業)

1950年生まれ。’75年慶應義塾大学工学部卒業,岡村印刷工業(株)入社。’80年8月 同社常務取締役,’81年5月同社専務取締役,’91年7月同社代表取締役社長(現任)。’07年6月NPO法人美術散華保存協会設立,理事長(現任)。当クラブ入会:2011年2月

 きょうは女性のお客様が大変多く,散華のお話をさせていただくのは本当にぴったりの日だなと思っております。散華のお話は,大阪RC入会の折にも自己紹介の中でさせていただきました。しかし,もう一度アピールをさせていただきたいと思います。

散華とは

 散華は,もともとハスの花びらが由来で,千年以上の歴史があります。例えば,奈良でも最も古い戒律をそのまま守っているお寺のひとつである唐招提寺は,今でも生のハスの花びらを使っています。紙の散華の最も古いものとしては,正倉院御物の中の「緑金箋(りょっきんせん)」という緑の色を塗った上に金箔を張ったものがあります。現在では,奈良の東大寺,興福寺,西大寺,薬師寺,唐招提寺,法隆寺の「六大寺」を中心に,大きな法要で大々的にまかれています。

 また,散華のために有名な画家に絵の奉納を依頼し,それを元に美しい散華をつくるようになりました。散華のコレクションは小さな美術館のようなものです。しかも,画家はただでつくります。お金のためではなく,百年,千年と続いていくお寺の1ページを飾るために,名誉と意地をかけてすばらしい作品を制作しています。

散華の楽しみ方

 私どもの岡村印刷工業株式会社はこうした風習のある奈良県にあり,昔から神社仏閣とのおつき合いがございました。私はもともと散華収集をしていましたが,あるころからこの散華の制作をする機会を得ました。長い歴史を持つ散華ですが,各寺で分類,整理,記録がなされていないということが分かりました。また,奈良以外ではあまり知られていないということも知りました。そこで,散華の歴史的な考察と,新しい散華の制作をライフワークとしようと決心し,「NPO法人 美術散華保存会」を創設しました。

 散華の楽しみ方はいろいろあります。各テーブルに散華を透明な額に入れて置いておりますが,まず,目で楽しむことができます。また,昔から奈良では,女性のたんすの中に入れておくと幸せが来ると言われてきました。ぜひ,奈良に来て散華を拾って帰っていただいて,たんすの中に入れていただいたらいいかと思います。散華の制作上の特徴は,通常の色数を超えた「多色刷り」と「振り金」といった技術を使っていることです。日本の美術を見るにつけて,1つは漆黒の黒であり,もう1つは金の美しさだと思います。散華を目の近くに寄せて,金の美しさを楽しんでいただいたらいいかと思います。

美術館開設

 以前からバーチャルの散華美術館というのはあったのですが,今回リアルの散華美術館がオープンしました。奈良のきたまちの古民家を改造して美術館にしました。実はNPO法人 美術散華保存会の事務局長をしております原田千賀子の自宅なんです。

 とても素敵なので,ぜひ寄っていただきたいなと思ってご紹介をさせていただきます。原田が仕事をしている関係で,現在,土日しかオープンしておりませんが,ぜひ一度寄ってください。また,原田は「写仏散華(しゃふつさんげ)」という散華の中に仏様を描くということをしています。その教室も同時にオープンをしています。

散華で桜を守る

 きょうは原田からの手紙を持ってきていますので,紹介したいと思います。

 --今月,近鉄奈良駅から奈良女子大を経,聖武天皇,光明皇后御陵に至る通りに「小さなギャラリー,町かど美術館」として「散華美術館」と「写仏散華教室」を開設しました。奈良を訪れる人々に,他の土地で得られない心いやされるものをご提供したいと思っております。散華は花びら一つ一つに仏様が宿り,私たちを救い,幸せにすると言われています。私にはそれが桜と結びつくのです。(中略)「なぜこんなに日本人は桜が好きなんだろう」と疑問を持っていましたところ,日本人の遺伝子に桜が組み込まれているという話をしてくださった人と出会いました。(中略)一昨年,吉野山の桜を保護する目的でチャリティー散華を作成いたしました。そのご縁で,「日本桜サミット」の大会に出席いたしました。「桜には保護が必要なこと,一般の人々にその必要性を知らせること」が毎年の課題のようです。私は,「人々が桜の散華を求めることでチャリティーになり,保護活動を知る」桜散華作成をすることにしました。昨年,日本三大桜の福島県三春の滝桜,山梨県神代桜,岐阜県根尾の薄墨桜,そして,弘前,角館,大阪城造幣局,東京,奈良,八重桜など,合わせて10ヵ所のチャリティー散華を作成しました。3月11日の大震災,とても桜散華どころの話ではありませんでした。来春に向けての活動も,営業経験のない私の努力は悲しいものです。特に福島三春の滝桜には心を痛めます。来春のことを考えているうちに,自宅の立地条件と町屋であることで,町かどの小さなギャラリー「散華美術館」を思い立ち開設した次第です。月によって展示品を変えますので,春には桜の散華で埋め尽くされます。皆様に町かどの小さなギャラリー「散華美術館」を心に留めていただけたらうれしいと思います。奈良のお寺に行かれたら,ぜひ散華をお土産にお買い求めください。3枚で1,000円から1,500円程度で売っております。--

 12月1日に「散華美術館」を開設してお客様もたくさんおいでになりますが,散華が余り売れません。どうやったら売れるか,アイデアがありましたらぜひ教えてください。