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2010年11月5日(金)第4,324回 例会

多文化共生社会を目指し「人づくり」と「まちづくり」
~小学校英語(外国語)体験活動を通して~

大 西  裕 子 氏

2007~08年度2660地区
国際親善奨学生
大 西  裕 子 

1977年箕面市生まれ。’00年神戸女学院大学文学部英文科卒業,同年東京海上火災保険勤務,’04年全カナダ日系人協会本部事務所インターン(カナダ)。’05年4月立命館大学大学院国際関係研究科博士前期課程,’07年4月同後期課程進学,’07年9月~’08年イギリス・University of Sussex, MA in Migration Studies(国際人口移動・移民研究)にロータリー国際親善奨学生として留学(’09年1月MA学位取得)。’07年10月~豊中市教育委員会の提案公募型委託事業「小学校英語(外国語)体験活動」コーディネーター及び’10年4月~京都中央看護保健専門学校・非常勤講師

 私は,大学を卒業後,民間の金融機関に勤めましたが,ずっと興味のあった移民についてもう少し理解したいと思い,カナダのNGOで1年間インターンをしました。

 カナダは多文化主義が国是です。いろんなエスニックルーツを持った人たちが,自分らしくそのルーツに誇りを持って生きている姿に感動して,もう少しこのことについて研究したいなと思い,帰ってきてから京都の立命館大学の博士課程に進学したのです。

 その後,日本における移民に研究テーマをしぼり,その中で非常に目についたのが,「日本人の国際結婚」でした。今,日本のお役所に婚姻届を出す15組に1組が国際結婚です。国際結婚とは,日本国籍を持っている人と日本国籍を持たない人の結婚と定義しています。約6%近くが国際結婚なんです。

 今,日本社会に住んでいる外国人は,2%弱ぐらいです。外国人労働者の割合もそれぐらいですし,大学における外国人留学生の割合というのも2~3%ですので,いかに国際結婚が目立った現象かというのが研究を始めてすぐに気づきました。

国際結婚,子供は2ルーツ

 日本社会における国際結婚の内訳ですが,約8割が日本人男性と外国人女性の結婚です。

 国際結婚で重要なのは,子どもが2つのルーツを持っているということです。その2つのルーツを持つ子どもが,その1つのルーツを否定されるような社会は私は問題だと思って,国際結婚をした女性とその子どもたちについてずっと研究を続けてきました。

 また,海外にいる日本人女性はどういうふうな暮らしをしているのかということにも関心が移り,日本国内にいる外国人女性と日本国外にいる日本人女性の国際結婚の違いを比較したらおもしろいんじゃないかということで,ロータリーの財団奨学生に申し込みをさせていただきました。そしてイギリスでの研究に移ったわけです。

日本人女性は2通り

 イギリスにいる日本人女性なんですが,国際結婚する経緯には2通りあり,イギリスに1人で渡英した後に現地で結婚するケースと,日本国内でイギリス人男性と出会って,結婚後,イギリスに移動するケースです。

 単身でイギリスに渡った女性で圧倒的に多いのは,特に高学歴の女性です。

 単身でイギリスに渡ってイギリスで結婚した方は,旦那さんが日本に住んだことがありませんので,完全に家庭内の会話が英語だったり,イギリス文化にどっぷりとはまった生活をしている方が多いです。イギリス社会でキャリアを築こうという意欲も強いので,子どもができるまでは日本人コミュニティとは全く接点のない生活をされている方が多いのです。子どもができるとやっぱり自分の子どもに日本語をちょっとは教えたい,という強い動機もあり,日本文化,日本語に意識が向くという傾向がはっきりわかりました。

 イギリスで一番強く感じたのは,同国人同士で集まれる,外国人同士で集まれる「エスニックコミュニティの重要性」「就労して経済的,社会的に自立する」「2つの文化を持つ子どもの文化継承と社会適応」,この3点です。

 日本社会は果たしてそういった外国人ママであったり,2つの文化を持つ子どもたちをどこまで理解,尊重できているんだろうか。実践者としても,そういった意識改革が日本社会ではまだまだ必要じゃないかと思い,豊中国際交流協会で働き始めました。

英語以外の依頼も

 日本国内には外国人が200万人以上います。豊中市には約5千人の外国人がいて,そういった身近に暮らしている外国人をどんどん小学校に送ろう,地域にはこんなに外国人が住んでいるよというふうな出会いを提供するということを中心に活動しています。

 最近は学校から,英語以外の言語も教えてという依頼が直接くるようになりました。

 派遣している外国語の時間数は,韓国,中国語が多く,あとスペイン語,フィリピン語,フランス語,タイ語,ポルトガル語,ロシア語,インドネシア語と,いろんな言語があります。1人でも学校に外国のルーツを持つ子がいたら,その子の背景を持つ人を探し出して,講師として派遣しているという取り組みをずっと行っています。

 豊中の子どもたちはこれを5年間繰り返しているので,先生たちに,「次はどこの国の人が英語教えに来てくれるの」「この間,町で何々さんに会ったよ」と,身近にいる外国人,いろんな文化を持つ外国人への理解が子どもたちの間に広まっているということも,成果として上がってきています。

 私がずっと考えてきたのは,日本もカナダとかイギリスのような多文化社会になったらいいなということです。本当に自分らしく生きていられる。その当事者にとっても,周りの人たちにとっても,違いも受けとめて尊重されて,でも同じところも見てくれる,そういった暮らしができるまちが豊中からできたらいいなと思っていますし,まちづくりの基本は人づくりですし,人づくりの基本は教育なので,「まちづくり」「人づくり」のきっかけを「地域」「学校」から始めているわけです。

 これは,財団奨学生としてイギリスに行く前に,ロータリーの方から教えていただいた奉仕の精神につながっていると思っています。