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2008年5月23日(金)第4,208回 例会

ゴルフもマネジメントも良い姿勢から

マイク 小西 氏

ゴルフティーチングプロ
マイク 小 西 氏
マイク 小西 

1945年生まれ。米国籍。9歳よりゴルフを始める。23歳の時に古典的スイング理論に疑問を抱き,研究を続け,36歳で世界をリードする独自理論「SNSメソッド」を築き上げる。’92年,レッスンオブザイヤーを受賞。

 「ゴルフについて知っておいたら得です」というお話と,「姿勢」のお話をさせていただきます。ゴルフをして30年以上という方,手を挙げてくださいますか。多いですね。30年以上やって上手になりましたか(笑い)。 30年以上やって上手になっていないという意識の方が非常に多いのです。30年以上やって上手にならないものが他にありますか。30年やって上手にならないものは多分,他にないんじゃないかと思います。

 30年以上やって上手にならないということは,根本的なところがどこか間違っているんじゃないでしょうか。

「90を切りましょう」

 ティーショットをもっと飛ばしたい,セカンドをもっとグリーンに乗せたい,アプローチをもっと寄せたい,パットをもっと入れたいと,皆さん思っていらっしゃる。

 実は共通している基本のポイントがあります。100以上で回る方もいらっしゃると思いますが,コツをお話しします。私より1歳年上の親しいお医者さんが110を切れない。「じゃ,90の切り方をお教えしましょう」「100を切れればいい。90なんて,そんなぜいたくは言わないよ」「いやいや,90の切り方を教えます」。その方は私の言ったことを念仏のように唱え,2ラウンド目で88が出ました。

 「飛ばさない」,「乗せない」,「寄せない」,「入れない」。これでボギー,ボギーなんですよ。それでずっといけば90。たまにはパーもあるでしょう。要は欲張りすぎ。欲でスコアを崩しているんです。

 皆さん,パットをするとき,頭に入れておいてください。最初のパットは「距離感」だけで打つ。ラインに集中して,3mのパットを1mぐらいオーバーする方が多いんです。いいですか,パットは距離感だけ。コツをひとつ言います。長いパット,遅いパットはホールを見ながら素振りをする。短く,これじゃ足りない,もうちょっと,もうちょっと,これでちょうどいいなというフィーリングの出し方をする。速いパット,下りはオーバー目に。行き過ぎ,まだ行き過ぎ,このぐらいがちょうどいいなとやる。逆からやると,感覚が出やすいんです。

ポイントは「運動軸」

 ティーショットを打つとき,ほとんどの方は目線が下がっている。まだ,お上手じゃなかった頃,隣のホールに行ってしまって,木超えで打たなきゃいけなくて打ったとき,妙にいいショットが打てたという経験のある方,いらっしゃるでしょう。それが本来のスイングの形です。左手が上で,右手が下でグリップしているのに,肩を水平にして頭を真ん中にする方が多い。左手が上で右手が下なら,右肩が下がるのが当たり前。これがまさに木超えで打たなきゃいけないときの構えです。

 クラブを右手に,右足を一歩踏み込めば,右の股関節が首の真下に来ている。こうすると足腰が簡単に動いて体中の運動になる。私は「運動軸」という名前をつけました。まさに木超えの構えで,大事なポイントです。

 14,5年前に岡本綾子が腰をこわして私のところへ来て,その後アメリカLPGAの賞金女王になったのですが,あのスイングを日本のプロがまねしようとしてできなかった。下半身が動き,上が仕方なく引っ張られて動くのが大事なのに,ほとんどのゴルファーが上半身の動かし方を一生懸命考えたからです。体は足で動かされる。「運動軸」です。

赤ちゃんにハイハイを

 ゴルフ理論の研究をして,姿勢が運動上,非常に重要だというのがわかってきた。私はサンディエゴにいて,海兵隊の軍曹とゴルフ練習場でよく会った。彼は姿勢をよくすることを嫌われるほど教える。いい姿勢をしていると,中心をパンと動かすだけで動けるからです。姿勢が悪いと,よけるのも遅くなる。

 姿勢をよくする体操をしましょう。まず両つま先を平行にして立ちます。(親指以外の)手の4本の指全部をピタッとつけ,横に両手を開いて,できるだけ遠くに伸ばす。おなかが締まってきた感じになる。この状態で立ったまま,足踏みして下さい。今度は両腕をスーッと上に挙げて下さい。挙げると背骨も伸び,頭が今までより高い位置に来たように感じます。そして真横にスーッと両手を下ろします。それが本来あるべき姿だということを感じていただきたいのです。

 「ポジティブに考えろ」とよく言います。先ほどの姿勢で物を考えると,ポジティブになる。社長さんばかりの会で,ある中小企業の社長さんが「うちの社員は遅刻が多くてかなわん。いくら注意しても直らない」とおっしゃる。別の方に社員役をやっていただき,遅刻しないよう訓示をしてもらいました。「お前なあ,遅刻ばかりしてだめだ」。それはもうグチでしかないんです。姿勢が悪くて文句を言うとグチになるんです。

 今の体操をして,またやってもらったら,明確な指示を出せたんです。「君,明日から5分前に来てタイムレコーダー押して,9時には仕事できるようにきちんとして」。社員も「はい,わかりました」となるんです。

 ひとつ,お願いがあります。お孫さんたちに「いい姿勢で歩くと得だよ」ということを教えてあげて下さい。お金に余裕のある方はハイハイがいっぱいできるジムをつくっていただきたい。最近の日本の住宅はハイハイができない。日本の赤ちゃんはハイハイするスペースがなくなっているがゆえに,すぐにつかまり立ちをする。要は胎児の状態から赤ちゃんになって育つ過程で,いい姿勢をつくるチャンスがない。いい姿勢をつくる筋肉を育てるチャンスがないのが日本の実情のように思われます。ハイハイができるスペースをつくっていただきたいのです。