大阪ロータリークラブ

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2008年1月11日(金)第4,190回 例会

ニューイヤーコンサート

演奏者プロフィール
テノール:松本 薫平氏

東京芸術大学音楽学部声楽科を卒業後,イタリア・ミラノに留学。イタリア各地において多数の演奏会に出演。第27回イタリア声楽コンコルソテノール特賞をはじめ,数々のコンクールで受賞。現在は武庫川女子大学,大阪芸術大学,県立西宮高等学校の講師を務める。

ピアノ演奏:吉田 衣里氏
4歳からピアノを,6歳から作曲を始める。大阪音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。現在,オペラや演奏会,コンクールなどの伴奏者,またソロピアニストとして活躍中。

解  説:朝比奈 千足君

 きょう聴いていただくイタリアの歌5曲には,テーマが一つ隠されています。「イタリアの男性が女性を見る目」。イタリア的な5種類の男性を歌い分けます。みなさんも,昔の女性との思い出,奥様との思い出に思いをはせながら聴いてください。


ヴェルディ作曲:女心の歌 歌劇「リゴレット」より
 まず,ヴェルディのオペラ「リゴレット」から。主役の1人で色男のマントバ公爵が酒場で歌う「女心の歌」です。「女心は風の中の羽のようにヒラヒラし,時々あっちこっち自分の思わぬ方向に行くけれど,可愛いやつだなあ。時々裏切られるかもしれないけれども,大丈夫だ,私にかかれば皆こっちに顔を向けるよ」なんて生意気を言っています。


デ・クルティス作曲:忘れな草
 レオンカヴァッロ作曲:マッティナータ
 カルディロ作曲:カタリ(コーレングラート)
 今度は3曲続きです。まず,クルティス作曲「忘れな草」。この男性は,何となくナヨナヨとした,少しおとなしめの消極的というか,少し未練がましい歌です。
 次に,レオンカヴァッロ作曲「マッティナータ」。「朝の歌」という意味です。早朝,恋人の窓辺に行き,「そろそろ夜が明けるんだけど,あなたはまだ寝ているんだろうね。あなたが起きて顔を見せないと本当に太陽が輝かない。あなたの顔で太陽のように温めてほしいな」という,大変おせっかいで近所迷惑な歌です。それほど積極的な男性です。
 次は,カルディロ作曲「カタリ」。女性の名前です。詐欺師のことではありません。「コーレングラート」という題名で,薄情な心という意味です。「これだけ思っているのに,あんたはちっともこっちに顔を向けない。ほんとに薄情な女だね,あんたは」という少し愚痴っぽい男の歌です。暗いかというと,非常に輝かしくて甘く,初めからこう歌えば,どんな女の人でも心がなびくのではないか,と思いながらいつも聴いています。


プッチーニ作曲:誰も寝てはならぬ 歌劇「トゥーランドット」より
 最後は,プッチーニ作曲「トゥーランドット」という中国を舞台にした未完のオペラから,「誰も寝てはならぬ」です。2年前のトリノ冬季五輪の開会式で,今は亡きパバロッティが歌いました。そしてさらに,同五輪女子フィギュアスケート最終日のフリーで荒川静香さんが,この曲を使って演技して日本人初の金メダルに輝きました。
 劇中では,カラフという王子が歌います。トゥーランドット姫に,素敵な王子が求婚する。姫は国中に「明日の夜明けまでにこの男の素性を明かせ。それまでは皆,寝てはならぬ」という指令を出す。それを聞いた王子が「それなら,姫も寝てはなりませんよ。夜が明けたら,どうせ私の名前はわからないでしょうから,私の素性を明かしましょう。そのときは,あなたは私のものになる。勝利は私のものだ」と告げる。この最後の歌詞があるから,開会式で使われた。知ってか知らずかわかりませんが,荒川さんも使った。
 イタリアの男性のパターンとしては,真実一路,誠実かつ正義の味方みたいな,まるで私どもロータリアンのような性格ということで締めたいと思います。