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2005年9月16日(金)第4,085回 例会

時代に打ち勝つ!いまどきの資産運用

田 嶋  智 太 郎 氏

経済ジャーナリスト 田 嶋  智 太 郎

1964年東京生まれ。 '88年慶應義塾大学卒業後, 現三菱証券勤務を経て, 経済ジャーナリストに転身。 現場体験と綿密な取材活動をもとに金融・経済全般から戦略的な企業経営, 個人の資産形成まで幅広い範囲を分析&研究。 数多くの新聞・雑誌などに連載執筆するかたわら, 講演会・セミナーで全国を年間200ヵ所余り講演して歩く, 新進気鋭のジャーナリスト。

 本日は主に外国為替取引にできるだけ的を絞り,お話をします。最近米ドル,またはユーロといった外国通貨に対するクロス円取引,つまりドル/円,ドル/ユーロ,またはユーロ/円――といった相場で,かつて見られなかった動きが顕わになっているからです。例えば9月11日の衆議院選前後のドル/円相場。二日前の金曜日の夕方あたりまで,世界中の投資家は模様眺め気分でしたが,どちらかと言えばドル堅調の動きが続いていました。

自民圧勝でも円安の理由

 ところが,その日の夕方以降,市場関係者の間で自民が単独で過半数の議席を奪いそうだという予測が噴き出し,翌土曜日の朝方にかけて急激に円高が進みました。一気に円が買い進まれたのです。選挙結果は自民圧勝で,株式市場では週明け月曜日の東京マーケットは204円の大幅高になりました。

 市場関係者の多くは為替相場も円高方向に大きく振れるに違いないと考えたようです。確かに東京市場は1ドル=109円すれすれのところまで円高になりましたが,翌日火曜日には何と111円台,2円余りの円安ドル高に振れる展開になりました。自民圧勝,日本経済は絶好調,株価も上昇,外国人投資家は次々と日本の株に買いの手を入れてきている,政局安定,改革進展――好材料尽くしですが,ドルは買い進まれ,円は安くなったのです。この背景には,大きく3つの要因があると考えられています。第1は,今年1月17日,ドル/円相場は101円台半ばちょっとで,大底をつけました。その後,6月以降は110円を下回る円安ドル高水準になりました。ピーク時は113円台後半ですから,そんな状況が続くと国内輸入各社はなかなか安いところでドルの手当ができなくなります。このため一時的に109円台まで円が戻した時に一気にドルの手当に走ったのです。

 第2は,日本の株式投資家と,国際商品や外国為替市場の投資家とは,顔ぶれも投資判断の基準も異なるということです。株式投資家は,大小に関わらず日々の個別材料に非常に敏感で反応しやすい。

 その一方で,国際商品や外国為替市場の投資家は比較的インテリジェンスが高い。そんな方々の判断で売買されている。株式相場はやはり一喜一憂しがちな相場であり,外国為替市場は冷静沈着に物事を判断し動いている。冷静沈着派の多くは,自民圧勝といっても明日の日本がすぐに明るく輝くかどうかは判断しかねる。ここは少し冷静になって,一時的に安くなったドルを再び買い上げ始めた。

急増する個人のFX取引

 そして第3は,外国為替証拠金取引(FX)の個人利用者が急増しているという事実です。今年7月1日,このFXを金融先物取引として新たに規制対象とする「改正金融先物取引法」が施行されました。ライブドア,ソフトバンク,さらに楽天も競ってFXのオンライントレード,インターネットトレードに注力し始めています。

 私はこの1年,毎週月曜日に「マネーパートナーズ」というFX専門業者のサイトでコメントを公開しています。この会社は今年春,楽天証券の出資を受けその傘下に入りました。ライブドアもこのほど元日商岩井フューチャーズを買収するなど力を入れています。

 東京市場での一日の個人のFX利用による売買金額は何と20億ドルです。東京マーケットは1日で平均100億ドルの売買が成立していますから,その2割が個人のFXによる売買なのです。FXではあまり売りから入る人はいない。「ドルが安くなったら,ユーロが安くなったら,そろそろ買うてみようかな」と買いから入るんです。そんな人たちの売買高が1日で20億ドルもあるわけですから,そう簡単にドルやユーロは下がらない。

 私は先ごろ,元大蔵省財務官で,現在,国際通貨研究所理事長の行天豊雄さんにインタビューをしました。行天さんは「基本的に今後の大きな流れは,今よりも相当程度のドル安円高だろう。いやそうなるべきだ。1ドルは90円,80円,70円,60円だっていい」と語っていました。理由は明快です。「アメリカの国民はもっと消費を抑え,貯蓄に励み,それによってドル安にならなければならない。でないと経常赤字の大問題を解決できない」。とはいえ「米国経済の堅調な状況が来年半ばまでは少なくとも続く。皮肉なことだが,当面はドル高円安が続く」との見通しも示されました。3選のないアメリカ大統領のブッシュ氏が2期目に入ったとき,基本的にドル高を望むことは明らかです。投機筋はしばらくドル買いのポジションをおいそれとは崩さない。個人投資家もそれをよく知っています。

ドル/円相場は5年周期で動く

 また,彼らはドル/円相場が過去に一度の例外もなく5年サイクルで動いていることを知っています。過去3年間続いたドル安局面は,今年1月17日に終わり,これから5年間の新しいサイクルに入る。少なくとも2年か2年半はドル高基調が続くと考え,安心してドルを買う。

 日本経済が好調なのに,足元ではドル高の基調が見られるわけです。円安は輸出企業にとっては,大変ありがたい状況です。業績の通期,中間期予想の上方修正,増額修正が相次ぎ発表になり,株価は上昇するでしょう。目先はよい循環が続いています。これから先,ドルで勝負するか,ユーロで勝負するか,それとも国内輸出企業の株価の上昇に期待してそこで勝負するか。皆さんのご判断にお任せしたいところです。