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2005年4月1日(金)第4,064回 例会

ロータリー100周年とロータリーの友

二 神  典 子 氏

ロータリーの友
編集長
二 神  典 子

1959年生まれ。'78年島根県松江北高等学校卒業,'82年青山学院大学法学部公法学科卒業,'96年法政大学大学院修士課程修了。'00年愛知学院大学大学院博士課程 単位終了満期退学(経営学研究科 広告・広報管理研究)。 '84年ロータリーの友事務所入社。'93年同写真編集主任,'02年同編集長現在に至る。

 日本のロータリアンが,どういうことを『ロータリーの友』で知りたいと思ってくださっているのかを想像しながら,毎月,雑誌をつくっています。一般の雑誌よりも,読者であるロータリアンの皆様と私ども編集スタッフの距離というのが非常に短いものですから,良かったこと,悪かったこと,たくさんの意見を直接おうかがいすることができます。それらの意見を集大成いたしまして,それまでの『ロータリーの友』の路線を大きく変更させていただきましたのが,2002年の7月号です。サイズも文字も少し大きくし,綴じ方を変え,記事の分け方も少し変えました。

RI指定記事

 編集長になった2002年の7月号から,国際ロータリー,RIの指定記事の翻訳の最終チェックをしています。RIにはアメリカの本部でつくっている『THE ROTARIAN』という機関誌があります。『ロータリーの友』は地域雑誌と呼ばれるもので,他に地域雑誌と呼ばれるものは全世界で31あります。守らなければならない規則がいくつかありまして,一つは,毎月『THE ROTARIAN』に掲載されている記事から,国際ロータリー,RIから指定された記事を翻訳して載せなければならないというものです。「RI指定記事」と呼んでおります。『ロータリーの友』には「RI指定記事」と必ず入れています。

 英語から日本語にする場合,より必要なのは英語力ではなくて日本語力の方だなと最近つくづく感じています。どんなに英語や日本語の能力をお持ちの翻訳者や通訳の方であっても,どうしても日本語にならない英語の単語,逆に英語にならない日本語の単語というのがあると思います。

milestoneと節目

 ロータリーの100周年を前にして,『THE ROTARIAN』には,100周年関連の記事が載るようになりました。それらのほとんどが,先ほど申し上げましたRI指定記事というふうな形でやってまいりますので,翻訳して『ロータリーの友』に掲載しています。そんな中で,よく使われる言葉があるのに気がつきました。「milestone」です。辞書では「マイル標石」という訳語が出ておりますが,日本語では「一里塚」でしょうか。それをそのまま日本語の文章に入れても,きれいな日本語になりませんでした。

 1年ぐらい前から日本のロータリアンの方が書かれた100周年に関する記事を見るようになりました。そこで必ず出てくるある日本語を見つけました。「節目」という言葉です。日本人向けに「節目」はすごいいい言葉だなと思いまして,「milestone」という単語に当ててみました。そしたらぴったりとした日本語になりました。

 マイルストンというのは,長い道のりを歩く目印のようなものですから,アメリカ人の感覚では,そのマイルストンのように,100周年という距離,位置が分かるように100年目にその新しいマイルストンをつくりましょうという発想になるようです。それこそが,国際ロータリーが提唱しております,100周年のロータリークラブ社会奉仕記念プロジェクトですとか,ツインクラブを提携して一緒に奉仕活動をしましょうということになるのだと思います。

2つの顔の雑誌

 本年度は100周年です。『ロータリーの友』にも100周年にちなんだ記事を幾つか載せています。「ロータリーの友」は国際ロータリーの地域雑誌ですから,100周年の節目の目印「milestone」をつくる活動をたくさん紹介しております。それが昨年の9月号から始まりました「Centennial Count-down」という記事です。これは,RIが進めている100年のロータリークラブの記念の社会奉仕プロジェクト活動を中心に紹介したRI指定記事です。

 『ロータリーの友』には日本のロータリアンの皆様のための情報を提供し,日本のロータリアンの方の視点に立った記事を提供するという役割もございます。ですから,100年の慣例の記事としまして,日本のロータリアンの方がおっしゃる「節目」を考える記事ということで,8月号から掲載しているのが「奉仕の100年実りの1世紀」という記事です。

 2つの記事を比べますと,やはり「節目」というキーワードで連載を始めました歴史を紹介する記事,「奉仕の100年実りの1世紀」の方が評判はいいようです。『ロータリーの友』というのは,日本のロータリアンの皆様のコミュニケーションの橋渡し役としての一面と,それから国際ロータリーの地域雑誌としての一面,つまり二つの顔を持っている雑誌です。100周年の記事の取り上げ方というのを見ていただくと,それがよく表れているのではないかと思います。

 きょうは100年の記事を取り上げて紹介しました。海外と日本のロータリーとの違いを感じる記事はたくさんあります。「ロータリーの友」からそういうものを見つけ楽しんでいただければ幸いです。

 『ロータリーの友』は,1953年に創刊いたしました。それなりに古い伝統のある雑誌です。その伝統のいいところを守り,新しい技術のよいところを積極的に取り入れて編集しています。まだ模索中ですが,印刷媒体であるこの『ロータリーの友』と,それからインターネット上にある『ロータリーの友』のホームページ,それぞれのいいところを生かし,日本のロータリアンの皆様のお役に立てるような記事を提供していきたいと思っております。