大阪ロータリークラブ

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2003年11月14日(金)第3,999回 例会

ロータリーと茶の心

千 玄室 氏

茶道裏千家 前家元 千 玄室

1946年9月同志社大学法学部卒業。 千利休居士茶道裏千家今日庵前家元。 ハワイ大学史学部教授。 日本国際連合協会会長並びに京都本部長。 他, 100以上の役職あり。 94年勲二等旭日重光章受章。97年文化勲章受章。 他, 多数叙勲受章あり。 88~90年国際ロータリー理事。 98~02年ロータリー財団管理委員。 02~04年2004年国際大会RI委員会委員長。 02~04年ポリオ撲滅募金キャンペーン委員会委員並びに日本委員長。 03年~国際ロータリー日本財団会長。 (茶道)

 2004年のロータリー国際大会は,5月22日に約3500名のお客様を迎えて京都でプレコンベンション,そして23日から26日まで大阪ドーム,リーガロイヤルホテルを中心にして開催されます。27年ぶりの日本での開催です。1994年に台湾で国際大会が開かれる5年前,大阪が立候補するに際し,伊藤恭一元理事からの要請で私もお手伝いし,努力しましたが,台湾開催となってしまいました。

100年の歩みをしるす2つの大会

 その時の不信感から大阪のクラブにはアンチ国際ロータリーの空気が漂いました。6年前に神戸の今井鎮雄元理事から,大阪を中心に京都,神戸,和歌山の4地区が合同で開催してはどうかと提唱があった時,古田パストガバナー始め大阪の皆様方に相談致しましたが,なかなか色よい返事が頂けなかったのはそういういきさつがあったのです。

 そこでせっかくの国際大会の誘致なので心を和らげて頂き,4地区が一体となりぜひ行いたいということで大要が決まり,今度は無事に大阪を中心に関西での2004年国際大会が決まったわけです。私が大会委員長の指名を受け,近藤実行委員長始め大阪の皆様に準備して頂いております。厚く御礼申し上げます。

 ロータリーは166か国,3万1500クラブ,会員120万人という大きな組織です。2005年はロータリー創立100周年。1910年にポール・ハリスがシカゴで初めて世界大会を開催し,2004年の大阪で一巡したあと,翌年再びシカゴで私たちは原点に戻ってロータリーを見つめ直すのです。2月23日の創立記念日から6月の国際大会まで色々な催しがあり,皆様のご協力を頂きたいと思っております。世界の会員が大阪に続きシカゴの記念大会に同じバッジをつけ列席できる幸せが,ロータリーの存在感を強めることと思います。

ノーと言える大阪

 日本は11万2000人の会員,グアム,サイパンその他を入れると3100クラブです。これだけ大きな貢献をしながら,公式語が英語という問題もあって,国際ロータリーに日本の意思が十分に通っていないのです。

 国連と同じような状態です。国連に対する拠出額はアメリカ26%,日本は22%で,常任理事国でありながら英国は2.2%,それに次ぐのがフランスで,中国,ロシアは1.8%ぐらいしかしていない。多額な拠出をしながら日本の意思はなかなか反映されない。ユネスコを通じて科学・文化の面で寄与していますが,それでも力が弱く,松浦事務総長の選出でも大変でした。他の国際機関でも日本の力は,強いようでそうではないのです。

 “謝罪国日本”とよく言われますが,頭を下げて,イエス・ノーがはっきり言えないというところに原因があるのではないでしょうか。国際ロータリーのマジィアベ会長が大阪に来て色々注文を出すのに対して,イエス・ノーをはっきり言わなければいけないと,近藤委員長,吉川事務総長,四方危機管理委員長が皆さん侃々諤々の結果,ようやく日本の状態を理解してもらえているのです。

 世界の都市や委員会が国際ロータリーの言いなりになっているのは,この大きな機構の事務局にアメリカ的大国意識が強いという内情があることを知っておいて頂きたいのです。国際大会への援助金は国際ロータリーからは出ません。私たちの拠出金で,日本がロータリーに対しこれだけ奉仕の心を持っているということを見せなければならない,その正念場が今度の大阪の国際大会であると思います。

 ポール・ハリスは“寛容・忍耐・慈愛”ということを言い,ここから奉仕という言葉が生まれました。これを知り学ぶ場がロータリーであると思います。職場へ,人と人のつながりへ,色々な場へ広がることによって世界の平和にいかに寄与できるかということです。

 たとえ1時間の例会でも,学びあい,友を得,普段会えない方々と週に一度話し合いができるのです。岸本会長が毎回,学の深い5分間スピーチをなさるし,ここにいらっしゃるそれぞれの業種専門の方々の話を,生きた字引のように承ることができるわけです。優れた方々一人一人にスピーチして頂きディスカッションすれば,いろんな人生哲学を奉仕とともに学ぶことができる。これがロータリーの一番大きなメリットであると思っています。そういう意味から有り難いと思う心を示して頂くのが,ロータリー財団への寄与,あるいは地域社会に身をもって奉仕することにほかならないと思うのです。

“一碗のお茶”と世界平和

 私の祖先の千利休が“和敬清寂”ということをお茶の精神としました。“和”は「平和」,“敬”は「敬いあう」,慇懃無礼でなく,心から尊敬しあうこと。ロータリーのバッジをつけた者同士ならば名刺を出さなくても手を振りあおう,肩をたたきあおうということを実行できなければならないと思います。ロータリーはそういう一人一人の人格を認める場所だと考えております。和し,敬いあい,そして“清”は清らかな気持ち,“寂”は気持ちを落ち着かせる。仕事から離れて一ロータリアンとして心の安定を図る場であるなら素晴らしいことだと思います。吉本晴彦さんのお茶の会で一服お茶を飲んで頂きたいという話がありましたが,一服のお茶を飲んで頂く気持ちを皆様が色々な場所で実践できれば,世の中はもっと平和で憩いのある場になると思います。お一人お一人がロータリーの場を通じ,また一碗のお茶を通じて本当の“和”の世界を作り上げられますように念じております。