三井不動産(株)
ライフサイエンス・イノベーション推進部長

三 枝    寛 
(さいぐさ)

1965年生まれ。’89年東京大学経済学部卒業。同年三井不動産(株)入社,’17年同社ライフサイエンス・イノベーション推進部長,現在に至る。

 ライフサイエンス・イノベーション推進事業と事業の名前が長ったらしいのですが,不動産会社がこういうライフサイエンスの仕事をするということを簡単にご紹介させていただければと思っております。
背景・骨子・取り組み
 この事業,当初の狙いからお話ししますと,私ども三井不動産のホームタウン,東京・日本橋が‘80年代に元気でなくなった時期があり,日本橋がもっと頑張らなければいけないということで始めました。
 私は2つの名刺を持っておりまして,1つが三井不動産で,ビルをつくって,そこにライフサイエンス関係の方々を集めるということをやっております。もう1つ,LINK-Jという一般社団。こちらは,理事長に慶應義塾大学の前医学部長の岡野先生になっていただいて不動産会社とは全く違う文化でこの一般社団をつくっております。
 このLINK-Jは何をしようとしているかというと,1つ目は具体的には劇場に例えますが,三井不動産がトンカチで劇場をつくり,LINK-Jがそこでスポットを当てたり,チケットをもぎったりということをやります。でも主役はあくまで「イノベーター」で,ライフサイエンス業界の方々が演技を演じやすい場所をつくろうということです。
 2つ目はライフサイエンスで,「幅広いライフサイエンス」をターゲットにします。私どもは横糸をつなぐようなことを意識しています。
 3つ目に,国内だけでなく「海外」でも同時にやろう,4つ目は「Fun!」を重視するということで,三井不動産がやる以上は,上質で楽しいものをつくろうと思っています。
 日本のライフサイエンス産業がより成長するお手伝いをしていきたいということを考えています。
「コミュニティを構築」LINK-J
 まず,LINK-Jですが,「交流・連携」と「育成・支援」というのをやっております。3年弱で,今350社になっています。ちょうど月に10社ぐらいずつ増えています。
 「交流・連携」は,基本的には数多くのイベントをやっています。日本橋の私どもの会議室で行われたイベントは昨年1年間,30人以上のイベントが443回開かれました。実際にはこの倍ぐらいのいろんな会合が開かれています。
 もう1つは「育成・支援」です。これは主としてベンチャーを育てるということをやっておりまして,LINK-Jが直接育てるというよりは,育てている人をLINK-Jが応援するという仕組みです。京都リサーチパーク,神戸の先端医療産業推進機構らの方々と,提携するだけではなくて,提携したら必ず相互にイベントをやる,相互にお客さんを送り合うようなことをやっています。
 それからもう1つ,ベンチャーを育成。ライフサイエンス業界のベンチャーというのは,ほとんどがアカデミアから生まれる。アカデミアと仲良くしようということです。東京の日本橋に12大学がサテライトオフィスを開いています。また東京にある順天堂大学,日本医科大学にはLINK-Jの会員にだけなってもらう。以上がLINK-Jの取り組みです。
最近の事業・今後の取り組み
 2つ事業をしていて,まず1つ目はイノベーションアセットと呼んでいる事業で,日本橋でライフサイエンスビルシリーズ,それから日本橋でシェアラボなどをやっています。
 ライフサイエンスビルシリーズというのは,日本橋に日本の創薬メーカーさんが70社,そのうち約30社が,この半径500m以内に本社もしくは東京支店を構えられています。
 この地に新たに私どもが日本橋以外から呼んできたのは90社,非営利団体と民間企業。非営利団体としては33団体。大学が12大学,ほかに公的機関,民間企業は57社,ほとんどがベンチャー企業です。日本橋の10ヵ所の拠点に90社がこの3年間で集まったということで,好調に事業は進んでいます。
 10ヵ所の拠点のビルには,会員企業350社,会員だけが入れるラウンジがあり,会員証をピッと入れるとコーヒーとかジュースが飲み放題の空間があって,ここで時間をつぶすことなども自由で,会議をやる場所です。
 オフィスも2種類ありまして,サービスオフィスというのはすべて机とかプリセットされていて,体ひとつで来ればいい。椅子1個から貸しますというのもやっています。
 それからシェアラボ。関西の京都リサーチパークの中にあると思うのですが,東京の都心にはひとつもないので私どもがつくったというものです。
 2つ目は「場」の整備,この5月から開始しました賃貸ラボ&オフィスで,いわゆる液体とか気体を使って研究実験を行うウエットラボと,デスクワークを行うオフィスが一緒になった施設です。キーポイントは,都心近接地における賃貸ラボ,オープンイノベーションの創出,都心近接地の充実した研究環境と思っているのですが,よく考えると都心でなくてもいいかなと最近思っています。
 取り組み3つ目は,資金の提供です。ライフサイエンス系ベンチャー企業にお金を入れます。ベンチャーに直接投資するのではなくて,こういうベンチャーキャピタル等にLP投資をして,彼らが投資をする資金を出していくという事業を始めています。不動産事業はハードから入るのが業界の常識ですが,ソフトから先に入ります。
 最後に,日本橋を離れて日本全部でやるよということで,大阪でも活動を始めました。大阪は東京日本橋の先輩に当たる日本一の薬種問屋の場所,道修町があります。この道修町と東京日本橋をつなぐコラボレーションプロジェクトをやります。目的は,大阪を代表する関西エリアと東京日本橋の連携を強めていく,双方の持っているいろんなものをお互い交換しましょうということです。
 LINK-Jが集客のお手伝いをし,そして三井不動産がその御堂筋三井ビルで会場を用意するというコラボもしていきます。
 今後,ライフサイエンス産業はもともと大阪の地,関西の地が大変強い場所ですので,大阪でこういった取り組みを通じて,また何かお手伝いができたらなと思っています。
(スライドとともに)


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