NIT情報技術推進ネットワーク(株)
代表取締役

篠 原  嘉 一 

1960年生まれ。元兵庫県警サイバー犯罪・攻撃対策アドバイザー。大阪府教育委員会ネット対応アドバイザー。ネット見守り隊特別監視員。兵庫県情報セキュリティサポーター。

 それぞれの企業ではセキュリティーを万全にした会社と契約されていると思いますが,個人が持っているスマートフォンからほとんどの情報が漏れています。設定せずにショップで買ってきたままのスマホを使うと,「元彼」と「今彼」は友達になる仕組みで動いています。「企業におけるリスク管理」の実際は,インターネットが関係しているトラブルがほとんどです。今回の北海道の地震でも食料を求めて並ぶ列よりも,充電を求めて並ぶ列のほうが長いようです。スマホがなくなったら死んでしまいそうになっているデジタル世代が多いわけです。アナログな経験が十分できてないとデジタルは使いこなせません。
アナログな経験を
 人とのコミュニケーションがしっかりとれている人は,社会に出てもトラブルを起こす人にはなりません。でも,人との会話がうまくできない方が社会に出ると,孤立したり,周囲と対立したりします。便利な道具ですが,ある程度アナログな経験を積んでから触らせるとか,まず,アナログな人とのコミュニケーション能力を上げていかないと,頭のいい仕事はAIが取ります。例えばアマゾンのスピーカーは,家の中にアマゾンの営業マンが1人来てくれている状態です。「トイレットペーパーなくなった」と言うと,自動的に注文されて宅急便で届けてもらえるわけです。
 SNSという誰かとつながっていく仕組みで動いているものを,ほとんどの人が今使っています。ラインは,トークとグループトークならメールのように直接の相手とのやり取りですが,タイムラインというのを使ってしまうと,いろんな人とつながっていきます。うかつな会話をしてしまうと情報漏えいになり,企業のリスクに変わっていきます。
情報が筒抜けになるSNS
 実際にあった大学からの相談で,大学生のときにSNSのインスタグラムに投稿を繰り返していた女の子にファンがいっぱいついて,そのファンが大学に女の子に会いに来ました。その女の子が歓迎会とか飲み会に行っている写真を投稿したら急にやきもちをやきだして,誹謗中傷,あるいは「この子,こんなことをやってました」とよくないこともいっぱい書いて会社に送って,会社に行けなくした。「彼ができました」とつぶやいてからは,彼に攻撃が変わって,刺される直前まで来ていた。ようやく警察が動いてくれて,女の子も男の子も保護されましたが,今は会社をやめています。せっかく採用した優秀な人材で,会社は戻ってくれと言いますが,女の子はもう心が折れて働けない状態です。相手は7月の末に検挙されましたが,こういう事案なのですぐ出てきます。
 今の子どもたちが持っている携帯電話は5~6回解約されてきた古い番号です。設定せずにラインを入れると,前の持ち主の電話番号を整理していない大人が投稿すると,見れる人になるので,知らない大人とつながっていることになります。子どもの声かけ事案とか連れ去りとかストーカー被害が絶えないのは,番号でつながるからなのです。今年1月から電話会社が対策し,070という番号が出ています。これはまだ電話帳に登録されている方がないので,ぜひお子さんに携帯電話を購入される方は070も検討してみてください。
 取引先と仕入先も営業マンを通じてつながったり,ライバル企業と電話番号を交換したりすると,情報が筒抜けになるのがSNSです。メールは送った相手にしか見えません。ラインの場合はトークとグループトークがそれに当たります。タイムラインという仕組みと,SNSというライン,ツイッター,フェイスブックは世界に公開されますので,見られて困ることは絶対書かない。見られて困るものはメールを使う,それでも心配な時は紙に書いて封筒に入れて切手を貼って郵便を使ってください。
使わない我慢を
 最近,Tik Tok(ティックトック)という海外のアプリがはやっています。このアプリを入れる時に,スマホの情報が漏れることがあります。アプリを入れる時には,「新規登録」と書いてあるアプリから入ってください。テレビのコマーシャルでやっているので,一般の方は何の抵抗もなく,このアプリを使います。企業が悪いわけではなく,ユーザー側の意識が低いのです。投稿画像が人生を変えてしまう。いったん投稿すると消す手段がないデジタルタトゥーです。今までなら削除の要請をして消してもらうという方法がありましたが,最近は削除要請をすると,削除された方が攻撃をしてくるトラブルが増えています。今の若い人は,何かを書かれると心が折れて仕事に行けない方が多い。そのためには,持っているけど使わない我慢が大切です。
 情報モラルという,「できることと,していいことは違う」ということを理解して社会生活を送る大人をつくっていかないといけません。余計な投稿は会社の信用に関わります,株価に関わります。まず新入社員の方々に,今,個人で使っているスマホが設定ミスになっていないかどうか,情報が漏れてないかどうか,その辺を考える力を身につけてあげてください。長時間どうもありがとうございました。
(スライドとともに)


(C) Copyright 2002. The Rotary Club of OSAKA、 All rights Reserved.