会 員

山 谷  佳 之 君(空港経営)

1980年オリエント・リース(株)(現オリックス(株))入社。グループ会社3社の社長を歴任し,2009年6月オリックス(株)取締役兼専務執行役。’15年6月同社取締役兼代表執行役副社長。同年12月関西エアポート(株)代表取締役社長CEO,’17年9月より関西エアポート神戸(株)代表取締役社長CEO兼務。’17年9月当クラブ入会。

 関西国際空港と大阪国際空港(伊丹空港),神戸空港を日ごろからご利用いただきまして感謝申し上げます。公共施設の所有権を発注者である公的機関に残したまま,運営権を民間事業者に売却する「コンセッション方式」で44年間運営する権利を買いましたが,1兆5千億円の借金付きで買っています。皆様のご利用がなければ絶対に返せません。
中国便が支える関空
 今年は関西空港が25周年,伊丹空港は80周年,そして神戸空港は13周年です。3空港合わせた旅客数は昨年度で4,890万人でした。今期は5,000万人確実と考えていますが,世界の水準から見ると33位くらいです。アジアの空港はかなり成長しています。まずは5,000万人を達成し,その先を迎えたいなと考えています。
 関空の特徴を3点挙げます。国際線定期便の1週間の便数で,何と中国便が全体の41%になりました。どんどん増えています。50%に近づくかなという伸びです。韓国は17%で下がってきています。関空は中国便に支えられていると言っても過言ではない状態です。もう1つの特徴は国際線です。1週間に1,409便飛んでいますが,国内のエアラインが4社で192便に対して,海外のエアラインが59社で1,217便と,おおむね85%が海外です。多くの海外のお客様を海外のエアラインが大阪や関西に連れてきて,その中で観光産業が発達していると言えます。最後は韓国です。1週間に189便飛んでいます。混乱がない最盛期には1週間230便程度飛んでいました。189便でも1日27便です。伊丹-羽田間は1日30便。混乱前は35便くらい飛んでいました。旅客数は落ちていますが,大阪や関西にとって韓国は非常に近い存在です。
 今年1~9月の入国外国人数は,韓国との関係悪化で混乱が発生しましたが,あまりへこんでないように見えます。それは中国がものすごい勢いで膨らんでいるからです。2013年は27万人でした。今年は253万人ですから10倍位に増えています。欧州や米国も’13年当時と比較すると倍以上にはなっていますが,中国の伸びと比較すると倍になったとしてもなかなか見えないという現状です。
 韓国からは’17年1月に過去最高の25万人が関空に来ました。直近のデータでは9月が5万人。5分の1まで減っています。80%減ったことになります。便数がなぜ5分の1にならないかというと,大阪から韓国に行く日本人があまり減ってないからです。特に若い女性がかなり韓国に行っています。最近は格安航空会社(LCC)でソウルを往復できます。K–POPなど新しい韓国の文化に触れたいという日本の若い女性が多くいるので路線数が保てます。
 「20ヵ国・地域(G20)大阪サミット」では,関空だけでなく伊丹,神戸,いわゆる関西3空港を総動員しました。多くの元首は関空を使用しましたが,トランプ米大統領は伊丹を使用しました。安倍首相も伊丹を利用しました。随員が乗る飛行機も実は多く飛んできまして,特に米国は大量に物を運んできました。関空で84機,伊丹は38機です。ロシアがどうしても専用機で送り込みたい大臣がいると言い出したときは関空も伊丹もパンパンでしたので,神戸で受け入れました。
台風教訓に新BCP
 昨年の台風の際には国に全面的な協力をいただき,2週間余りで復旧できました。台風21号の影響で関空に何が起こったかを時系列表で見ますと,台風の最接近が午後1時11分ごろ,連絡橋の通行止めは1時20分でした。その約20分後に瞬間最大風速58.1メートル。1時20分過ぎから2時までの間に全ての現象が起こっております。エアロプラザの天井のガラスが割れて,破片で旅客1名が負傷しました。浸水対策をどうしようか話しているときに,タンカーが連絡橋に激突しました。ガス管がひび割れてガス漏れも発生したのですが,一番困ったのは光ファイバーの通信ケーブルが切断され,連絡がとれなくなったことです。これからも台風は来るだろうということで,対策を行いました。新しいBCP(事業継続計画)をこしらえ,今年の4月1日から切り替えました。空港は24時間安全な場所でなくてはならない。皆様の安全の確保をしようと思えば特別な部隊が必要だろうということで,「特別災害隊」を編成しました。例えば消防をやった人間,あるいはその他の警備をやった人間を集めて,約20人弱の部隊で24時間対応いたします。日々トレーニングもしています。
リノベーション
 12月12日には関空主力の第1ターミナルビル(T1)のリノベーションを発表しました。1994年9月4日の開港時の計画は国際線1,200万人,国内線1,300万人のキャパシティー,伊丹は廃港でした。国内線が便利なようにターミナルの一番前に設置されました。しかし伊丹は存続。国際線の利用者は2,000万人を超えましたが,国内線は400万人程度です。これはものすごく大きなギャップです。何としても是正しなければならない。これがT1リノベーションの最大の目的です。最新のIT技術を使って扱える旅客の数を増やしていきます。
 具体的には,中央にある国内線の部分を少し横に寄せます。南北に分断されていた国際線を一体化することによりかなりスペースの確保ができます。空港としての作業効率が格段に上がります。動線も整備されます。グランドハンドリング(航空輸送における空港地上支援業務)もかなりやりやすくなる。国際線の処理能力はT1とT2合計で現在約2,300万人ですが,4,000万人を目指せるところまでキャパシティーを上げていくのが主眼です。24時間のターミナルなので,リノベーションに時間がかかりますが,2025年の大阪・関西万博の前には全部をきちんと仕上げるべく鋭意企画を進めています。変化する関空を楽しんでください。
(スライド・映像とともに)


(C) Copyright 2002. The Rotary Club of OSAKA、 All rights Reserved.