NPO法人 World Music Project
副理事長

橋 本  恵 史 氏

大阪音楽大学大学院,ドイツ・ハンブルグ音楽院を修了。2011年ドイツ留学中にWorld Music Projectを立ち上げ,「世界の学校に音楽を」をテーマに活動を開始。現在はカンボジアの音楽教育支援を中心に活動の幅を広げている。自身はテノール歌手かつ六代目桂文枝を師匠に持つ落語家でもある。舞台演出も手がける等マルチに才能を発揮している。

 テノール歌手の橋本恵史と申します。すごく緊張しておりまして,その緊張をほぐすため,1曲歌わせていただいてもよろしいでしょうか。(拍手)「コン・テ・パルティロ(君と旅立とう)」をお聞きください。
 フランチェスコ・サルトーリ作曲
♪「コン・テ・パルティロ(君と旅立とう)」
―熱唱。拍手。
支援のきっかけ
 World Music Projectという団体は世界の音楽教育のない学校に音楽を根づかせようという活動をしており,2011年からスタートさせていただきました。’11年,日本ではちょうど民主党政権の事業仕分けが行われているときでした。芸術文化も仕分けの対象になり,小学校における芸術鑑賞会への予算が大幅にカットされました。そのときに,関西のオーケストラ団体などが「子どもたちの心の教育,成長にとって,音楽というものは必要不可欠」と声を上げました。私のもとにもメールで回ってきましたが,私は賛同することができず,署名しませんでした。理由は自分も含め,音楽家がどれだけ子どもたちの心の成長とか情操教育のことを考えて音楽をしていただろうか。胸に手を当てたら疑問がたくさんわき,予算をカットされる前にわれわれがやっておくべきことがあったんじゃないかと思い,事業仕分けのときに先頭に立っていた蓮舫議員らそういう方たちに,音楽教育の必要性をわかってもらうことの大切さを感じたわけです。
具体的な支援
 小・中学校時代に使い家で眠っているピアニカやリコーダーを回収し,クリーニングして音楽教育の存在しない国の学校に持っていく。まず先生たちに音楽を教えて,楽器をその学校へプレゼントする。音楽教育がやはり子どもの成長にとって少しでも有効なものであるというのがわかりやすいのではないかと思って始めました。
 いろいろな学校にメールしましたがコンタクトがとれたのが,カンボジアのワット・ボー小学校でした。この学校に大阪音楽大学に使い古して廃棄になるけど,まだ弾けるピアノを持っていこうと考えました。でも現地はすごい湿気でピアノを持っていってもすぐに弦にカビが生えてしまう。だから鍵盤ハーモニカ,リコーダーにしました。
 この写真は,’15年から関わっているトロー・オンドーン小学校です。最初は生徒が600人でしたが,音楽教育を取り入れて1,200人まで増えました。音楽教育のある学校に親御さんが入れたいということで,生徒が倍になりました。
 問題も起こります。生徒が増えて校舎が足りなくなりました。小学校だけでなく中学校も足りないんです。そのためにチャリティコンサートを行い収益で校舎の建設を始めて,6教室の2階建て校舎を2つつくりました。全部で12教室です。校舎は無事にできて開校式も済ませたのですが,また問題が出てきました。私の計画性のなさですが,トイレをつくるのを忘れ今,急ピッチでトイレをつくっています。このトイレの資金ですが,あと130万円足りません。大切なことなのでもう一度言いますが,トイレの資金があと130万円足りておりません。
ロータリークラブの協力
 この校舎を建てるにあたり大阪RCにいらっしゃる井戸さんと稲畑さんも理事に名を連ねていただき,大阪北RC,大阪南RCからも理事・幹事に就任していただきました。これは教室の中ですがここにもロータリーの力をたくさんいただいております。彼らが勉強している机,右上に「TezukayamaRC」と刻印されています。大阪帝塚山RCで,私たちが建てた校舎の中身の机・椅子・そして扇風機などを地区補助金の活用で援助していただきました。
音楽教育の重要性
 音楽教育を取り入れた学校の子どもたち,には「協調性」が生まれます。違うメロディーを隣のお友達と奏でながら一つの曲をつくる。これが協調性を生むにはとても大切な作業です。さらに,人の話や演奏を「聞く」ことができるということ。自分が演奏をする立場になったときに人に聞いてほしいという気持ちが生まれます。音楽教育のある学校の子はじっと聞ける。そして拍手もできる。
 現在は首都プノンペンで新しい活動を始めています。’23年にカンボジアでASEANのオリンピック,「SEAゲーム(東南アジア競技大会)」が行われます。この開会式のオープニングセレモニーを飾ろうという目的で,マーチングバンドをプノンペンで立ち上げる手伝いをさせていただきました。
 もう1つが若手ミュージシャン,若手音楽家の育成です。現地の人が現地の子に音楽を教え,さらにその子どもに教える。こういう循環を目指しています。
 音楽は平和につながるとよく言いますが,音楽で平和になるとは思っていません。でも,平和をつくるのに音楽は一つの手段になると思っています。音楽にできることは小さなことですが,音楽にしかできないこともあると思いこれからも頑張ります。本日はありがとうございました。
(スライド・映像とともに)


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