2018学年度米山奨学生

張  文 超 

1991年7月生まれ中国・浙江省出身。2013年~’16年金沢大学で国際学を学ぶ。’16年~’18年3月,大阪大学大学院 言語文化研究科言語文化専攻 博士前期課程。’18年4月~,同後期課程3年に在学。2660地区米山記念奨学生として’18年4月~’19年3月末,当クラブ受け入れ。カウンセラーは近藤隆士米山奨学委員会委員長。

 今回は「これからはm-learningの時代」のテーマでお話しします。電子的な機器を利用して学習するe-learningと似ていますが,m-learningというのはスマートフォンなどを使って学習することです。
教室外の学習で効果を発揮
 m-learningの背景として一つ目に挙げられるのが,スマートフォン社会の到来です。皆さんも持っておられると思いますが,現在スマートフォンの機能はどんどん充実していて,例えばアップル社からは,毎年新しい機種が出ています。2017年に入り,全世界での利用数は40億台にも達していると推計されています。ビジネスだけでなく,色々なところでスマートフォンが使われています。特に若者の間では,SNSやコミュニケーションの手段として,利用されていることがわかります。
 次に,学習観の変化です。最近では,インフォーマル学習という認識が強調されるようになってきました。皆さんのイメージでは,学習とは教室があって,椅子があって,教壇があって,先生がいて,学習者がいて,黒板がある,といった状況で行われるのがフォーマルな学習だと思っておられるはずです。しかし,学習は教室内だけではなくて,特に最近,ICT(情報通信技術)やメディアが至るところにあって非常に大きな影響力を持つ現代社会では,フォーマルな学校教育は決して唯一の学習資源を提供する場所ではありません。
 例えば,友達と外で遊ぶときや博物館見学でも学習できます。最も重要なのは家庭内の学習です。m-learningはフォーマルな学習でも使えますが,教室外という社会の中でこそ最も効果を発揮します。
 それではm-learningとはいったいどういうものでしょうか。m-learningは英語のmobileとlearningという二つの言葉から成り立っています。mobileは,携帯あるいは携帯的,learningとは学習という意味。二つの言葉を合わせると,携帯やタブレットのような持ち運びが便利なツールで学習することを指します。
 m-learningとe-learningはどういった関わりがあるのでしょうか。皆さんの企業では新人研修のときにe-learningを導入されていることがあると思いますが,このm-learningはe-learningの新しい形式と言えます。また,m-learningはその携帯性をより重要視しています。
「便利=学習が楽」ではない
 m-learningのメリットとデメリットについて紹介します。まずメリットですが,ここでは主に3点お話しします。まずは時空間の制限が少ないということ。スマートフォンは持ち運びが便利なので,暇なときでも使えるというメリットがあります。もう一つは,今までの教室での学習と違って,自分のペースで学ぶことができます。3点目は,インターネットに接続しているため,情報の更新がとても早いということです。
 しかし,デメリットもあります。これも3点ほど説明します。一つ目は集中できないということ。スマートフォンは最初から学習のツールとしてではなく,通信手段として開発されたものです。例えば皆さんがスマートフォンで学習アプリを使って勉強しているときにメッセージが来たりして,邪魔されやすいということになります。次に,全ての学習に向いているわけではないという点。電車の中など暇なときに使うことが多いので集中することができず,難しい内容を勉強するのには向いていません。もう一つは,学習のモチベーション維持が難しいこと。先ほど時空間の制限が少ないという話をしました。しかし実際に学ぶと,今日ではなく明日学ぼう,明日ではなくてあさって学ぼうなど,学習をサボりたいという気持ちが出てきます。
 さらにもう一つ,おそらく皆さんにはm-learningに対してスマートフォンを使うから学習も便利で楽だという意識があると思いますが,これは間違いです。便利イコール学習が楽という意味ではありません。勉強ということ自体は一緒です。本で勉強するか,スマートフォンで勉強するか。その行動自体は変わりません。なので,しっかりと計画を立てて,例えばm-learningを使用するときには,どこまで自分のレベルを上げたいかという目標を設定したほうが,より一層学習のモチベーションの維持につながります。
AIとVRの技術で発展へ
 次に,これからのm-learningはどういった方向で変化していくかについて説明します。ご存じのように,現在,A(I人工知能)とVR(仮想現実)といった技術がどんどん進化しています。おそらく,これからのm-learningもこの二つの技術と組み合わせて発展していくと考えられます。VRについて,つまり仮想現実の技術を使ってm-learningをするという研究はすでに行われてきています。事例を挙げると,例えば外国語教育をするときに,このVR技術を使って実際の外国の世界を体験するような授業が行われていました。これからもm-learningは,このような形で次々と発展していくことでしょう。
 最後に,便利な学習のアプリを二つ紹介したいと思います。一つは,世界的講演イベントTEDの公式アプリ「TED」で,英語のプレゼンテーションを日本語の字幕付きで聴け,科学・ビジネス・社会問題・ITなど,様々な問題が扱われています。もう一つは「Quiezlet」という単語カードをアプリ化したものです。受験生にもお勧めです。皆さんもこれからぜひ,m-learningを試してみてください。
(スライドとともに)


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