ANAビジネスソリューション(株)
大阪支店 副支店長

佐野川谷 有加子

1963年生まれ。帝塚山学院短期大学卒業。ANAに客室乗務員として入社。現在はANA客室部門の管理職兼現職。教育企画事業やANAエアラインスクール大阪校の運営,人材派遣事業に従事し,且つ講師。ANAでは接遇マナー講師資格を取得し,様々な業界で講演活動を行っている。また,多くのVIPフライト(皇室・歴代総理総裁)や皇室特別チャーター便のチーフパーサーを担当し,現在も客室乗務員として時折フライトを行っている。2014年国土交通大臣表彰受賞,’17年大阪サクヤヒメ活躍賞受賞

 ANAグループの中で一番長い名前の佐野川谷(さのがわや)有加子と申します。今も数カ月に1度はフライト業務をしながら,講演や研修事業,人材派遣の営業の仕事なども担当し,今秋に入社35年を迎えます。
機内の安全を守るのも大きな役割
 3万9,000人のANAグループ(グランドハンドリング・ケータリング・機内清掃・整備・旅客・セールス予約・運航管理・パイロット・客室乗務員)は,「チームANA」を合言葉にしています。何よりの目標は,お客様を安全に,目的地までお運びすること。8,000人のキャビンアテンダントは,最後のアンカーとして皆様にサービス提供しています。
 「サービス要員」であるのはもちろんですが,機内の安全を守る「保安要員」の仕事も大きいです。新入社員の訓練は80%が機内の安全を守るためのものです。入社当時は,3カ月ほど地上での訓練をしないと,現場での仕事が許されませんでした。今も毎年,2日間の緊急訓練を必ず受けますが,スライドを使用した脱出訓練や減圧時の酸素マスク着用訓練,火災への対応などさまざまな学びがあります。
一番大切にしているのは「挨拶」
 出社すると,「プレブリーフィング」を行い,制服で身だしなみを整え,チームの目標を共有します。一番大切にしているのは「挨拶」で,「スマイル」と「アイコンタクト」がポイントです。
 あいさつの基本は,「あ」・・・あかるく,「い」・・・いつも,「さ」・・・さきに,「つ」・・・つづけて。明るく元気に。体調が悪くても気分が乗らなくても,いつも挨拶する。気がついたら先に挨拶をする,声を掛ける。そして,続けて挨拶の後にプラスアルファの何か声掛けをします。
 「スマイルチェック」も必ずします。チーフパーサーがマイクでクルーに呼びかけると,いつもポケットに入れた鏡で,ニッコリとちゃんと笑顔ができているかを確認し,お客様をお迎えします。
 フライト中も,お客様や機体に変わったことはないか,五感を働かせ,敏感になりながらリスク管理します。何かを察知したら,必ず私たちはどんな小さい情報でもクルー間でその情報を共有します。
 ANAグループには「お節介文化」が根づいていて,私たちはいい意味で使っています。どんなに上であっても,下であっても,お互いに気がついたら伝え合うことを大切にしています。「デブリーフィング」と呼ぶフライト後の振り返りも,退社までに必ず持っています。ヒヤリハット(ヒヤッとしてハッとしたこと)報告と情報共有,そして,「何故,何故」と自問自答しながら解決策を考える振り返りを繰り返します。
小さいことほど丁寧に,当たり前ほど真剣に
 「接遇」という言葉がございます。「もてなす」という意味ですが,私どもは,「人と人とが思いがけなく出会ったときに,出会ったすべての方に対しておもてなしの心で接しましょう」ということを伝え,大事にしています。
 「接遇」については,さらに3つの観点を大事にしております。まずは,迷ったり,判断に困ったら,「お客様の視点で考えて判断をする」ということです。2つ目は,「仕事に対する姿勢」です。もちろん専門職として,知識を常に持たなければならないのと同時に,「努力と挑戦」という言葉を一番大切にしています。35年この仕事をしてきましたが,まだまだ努力をしなければいけないことがたくさんあります。3つ目は「チームスピリット」,「チームANA」です。「チーム精神」を大切にしながら,皆様におもてなしの気持ちをお伝えします。「自分以外は,皆,お客様。一緒に仕事をしている仲間もお客様のような気持ちで接していきましょう」という気持ちも大事にしています。
 そういう気持ちで接していくと,やはり相手とのコミュニケーションがスムーズになります。そしてお互いに仕事がしやすくなって,職場が明るくなったり,元気になったり,楽しくなったりするという考え方でございます。そして,それはやはりいい仕事につながっていくと考えております。
 では,きょうの私のお客様,それはこの会場にいらっしゃるすべての皆様だと思っています。ですので,横の方とニッコリと笑顔を交わしていただくと,きょうの皆様のお客様は,この会場の皆様だということです。それでは,ニッコリと笑顔を交わしていただけませんでしょうか。ありがとうございます。
 最後にお伝えしたいキーワードは,私どもANAグループが大切にしている「小さいことほど丁寧に,当たり前のことほど真剣に」という言葉です。「ああ,これぐらいだったらいいな」と思って仕事をしてしまうと,それが大きな事故につながってしまう可能性があります。だからこそ,小さなことを大切にしています。
 そしてもう1つ。毎日,毎日,同じことの繰り返しであっても,当たり前のことであっても,当たり前のことだからこそ大切にしながら,真剣に取り組み,皆様に毎日サービスを提供するということです。皆様の業界にも通じることがあるのではないかと思い,大切にしている言葉をお伝えしました。おつきあいいただき,ありがとうございました。
(スライドとともに)




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